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2013/08/18 14:36:36

戦略の空間は扉空間とは別の第二の実体空間か

非条件付確率の問題としての説明に潜む「戦略」空間

モンティ・ホール問題を非条件付確率の問題として捉えた場合の説明は、次のようになる。

挑戦者が選ばなかった扉が当たりの確率 2 / 3 が switch して賞品を得る確率である。

しかしこれと数学的には同じ理屈を「switch する戦略」と「switch しない戦略」を対比させて説明するやり方がある。
頻度は少ないが、次のような例をインターネット上で見かけることがある。

説明の中で二つの戦略それぞれに言及しているもの

 二つの戦略の勝率の比に着目した説明

switchしなければ、最初に選んだ扉が当たりのときしか勝てないが、switchすれば、最初に選ばなかった扉2枚のどちらかが当たりなら勝てるので、switchする方が2倍有利である。

 二つの戦略ごとの勝率を計算した説明

switch しない戦略で勝つ確率は 1/ 3 だが、switch する戦略で勝つ確率は 2 /3 なので、 switch する方が有利である。

場合分けの表を switch 戦略と stay (switch しない) 戦略に分けて書いたtもの

 "Ask Marilyn"での論争における、1990年12月のMarilyn vos Savant の解答 (vos Savant, Marilyn (1990b).)

2013/06/21 にこの表の後半部分を修正しました。

扉 1 扉 2 扉 3 結果
ゲーム 1 自動車 ヤギ ヤギ Switch して
負け
ゲーム 2 ヤギ 自動車 ヤギ Switch して
勝ち
ゲーム 3 ヤギ ヤギ 自動車 Switch して
勝ち
         
ゲーム 4 自動車 ヤギ ヤギ Stay して
勝ち
ゲーム 5 ヤギ 自動車 ヤギ Stay して
負け
ゲーム 6 ヤギ ヤギ 自動車 Stay して
負け

switch 戦略と stay (switch しない) 戦略に分けて実験させるもの

 Marilyn vos Savant が提案した実験

vos Savant, Marilyn (1991).の中で Marilyn vos Savant が提案して、全米の小学校、高校、大学で行われた実験は、switch する戦略と、switch しない戦略のそれぞれで200回ずつ行う実験である。
実験の内容は紙コップと硬貨を使って、二人がかりで実験し、データを記録して、 switch する戦略で賞品を獲得する確率と switch しない戦略で賞品を獲得する確率を計算させている。

 "くろべえ"さんのブログの「モンティ・ホール問題」の記事に紹介された実験

くろべえさんは高校か中学の先生らしい。 席が隣同士の生徒のペアごとに赤黒黒と黒赤赤のトランプを配ってゲームをさせている。 片方の生徒は変える」戦略、他方は「変えない」戦略をとらせて、それぞれ 5回勝負。 トランプ 2組で赤52枚、黒52枚あるから、赤黒黒と黒赤赤をそれぞれ 17組つくることができて余りは2枚。. 34人までのクラスならこれで間に合う。赤黒黒と黒赤赤で戦略の違いを表している点が特徴的。

戦略の空間は新たな実体空間か

言葉だけの説明ならば、戦略ごとに別々に説明していても、読んだときに奇異ではない。

しかし、二つの戦略のそれぞれについて表を作ったり、図を画いたり、実験させたりしているところを見ると、片方だけで充分でないのか? と疑問を感じるのは私だけではないだろう。

このように手間を掛けて説明したり実験したりするのは、一人の人が同時に二つの戦略で行動できないことから来ているのかも知れない。
しかしそれと同時に、これらの二つの戦略が独立した実在、あるいは実体として意識されているということも理由の一つかも知れない。

言い換えると、という実体が確率を担っているという日常的な確率概念が適用できないので、そのかわりに 戦略という新たな実体が確率を担っているという意識に乗り換えたい気持ちが背景にあるのではないだろうか?

文献



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