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2021/03/23 14:45:08
初版 2021/03/23

新型コロナ時短要請のトリック

2021年1月に発出された緊急事態宣言の目玉が飲食店の時短でした。その政策自体、不可思議な内容であり、そのような政策が提案された経緯も謎に包まれています。

目次

 

分科会資料に見る時短要請の理由付け

分科会の会議資料から抜粋

内閣官房の Webページ "" に分科会で審議された資料を分科会の開催日毎に一つのPDFファイルにまとめたファイルへのリンクがある。例えば第一回開催の資料であれば「第1回資料」というリンクでダウンロードできる。 その中から、飲食店の営業時間短縮要請に関係がありそうな資料を抜粋してみた。
第10回 令和2年9月25日(金)
資料7-4 「人の移動に関する分科会提言」の「2.感染リスクを高める行動」で
  • ① 飲酒を伴う懇親会
  • ② 深夜におよぶ飲食
があげられている。
第11回 令和2年10月15日(木)
資料3-1 「歓楽街分析(中間報告)」の【今回分かってきたこと】で
  • 名古屋・栄、福岡・中洲は営業時間制限等が奏功 → 人出減少 → 感染を減らすことができた
  • 新宿・歌舞伎町は人出は減っていないが重点的PCR検査が十分 → 感染を減らすことができた
  • 買い物・娯楽等の外出と感染者数とは基本的に関係なく、リスクは低い
のではないか、という推測を述べている。
第12回 令和2年10月23日(金)
資料3-2 「クラスターの分析に関するヒアリング調査等の結果と今後に向けた検討(案) 」の図1から図14にかけてクラスターのイメージを図示している。そのうち飲食が登場したのは下記。
  • 図1接待を伴う飲食店
  • 図2ダンスクラブの職場の飲み会
  • 図4①会食
  • 図4②結婚式
  • 図7ゼミの飲み会
  • 図9運動選手の寮の食堂
  • 図14観光地の飲食店
資料3-3 「クラスター事例集」
ケースA~Dにかけて、対面や隣席の客に伝播する事例と同じテーブルの対角の利用者には感染しなかった事例が紹介されている。
第13回 令和2年10月29日(木)
資料4-1 「大都市の歓楽街における感染拡大防止対策ワーキンググループ当面の取組方策に関する報告書(概要)令和2年10月」の「報告書の概要①」のページの「2.大都市における感染状況等」で、クラスター事例の分析により、下記がわかったとしている。
  • 接待を伴う飲食店等から地域内(職場や家庭等)で感染が拡がり、その後、高齢者施設に感染拡大
  • 従業員・利用者の移動等により、地方都市にも感染が拡大
同上資料4-1の「報告書の概要③-(2) 早期介入時に行う対策(具体的な取組内容)」のページの 「②メリハリの効いた効果的な感染防止対策」の「<特措法第24条第9項に基づく措置>」で下記を提言。
  • エリア、業種を「限定」したメリハリの効いた営業時間短縮要請等
  • 持続化給付金、家賃支援給付金、持続化補助金、地方創生臨時交付金等を活用した事業者支援等の実施及び周知(事業者の資金繰りに資する制度融資も併せて周知)
  • 協力した事業者もメリットを感じられる取組・支援
資料5 「歓楽街分析」の「まとめ」で下記のような陽性者数減少原因を推察している。
新宿・歌舞伎町
重点的検査を行ったこと(営業時間短縮要請期間であっても人出は減ってはいないが)
名古屋・錦・栄
営業時間短縮要請等で人出を減少させたこと
大阪・ミナミ
充分な数の重点的検査
営業時間短縮要請等で人出を減少させたこと
福岡・中州
市全体の検査数を増加させたこと
飲食店の滞在時間短縮等の要請で人出を減少させたこと
(重点的検査の時期が早く、その後、陽性者数が増加)
第16回 令和2年11月20日(金)
資料3 「私たちの考えー分科会から政府への提言ー(案)令和2年11月20日(金)」 の「[Ⅳ] 分科会から政府への提言:これまでより強い対策」の「(1)営業時間の短縮」で次のように述べている。
  • 3週間程度の期間限定で、酒類の提供を行う飲食店に対し、夜間の営業時間の短縮要請又は休業要請を行って頂きたい。
  • その際、業種別ガイドラインを遵守している飲食店と遵守していない飲食店で要請のレベルに差をつけるべきである。
  • 国はそうした自治体に対し財政的な支援を行って頂きたい。
  • また、上記の期間には、併せて、夜間や酒類を提供する飲食店への外出自粛を要請して頂きたい。
第17回 令和2年11月25日(水)
資料3 「更なる対策の強化について」の「酒類を提供する飲食店等への休業要請・営業時間短縮要請等の推進」で、下記を休業や時短の要請を求めている。
① ガイドラインを遵守していない酒類を提供する飲食店等への休業要請
② ガイドラインを遵守している酒類を提供する飲食店等への営業時間短縮要請
③ 併せて、夜間や酒類を提供する飲食店等への外出自粛要請
第19回 令和2年12月23日(水)
資料2-2 「現在直面する3つの課題」の「課題①:首都圏からの感染の染み出し」のページで、10月19日の週、11月2日の週、11月16日の週、11月30日の週の東京を中心とした感染者密度図を用いて、群馬、茨城など周辺へ感染が染み出している様を図解している。
同上資料2-2 の「課題②:感染者の多くは20-50歳代 二次感染者の多くも20-50歳代 感染拡大はなぜ生じる?」のページで、2020年8月までのデータから年代別の人数をグラフ表示.。
一次感染者の69%が20-50歳代
二次感染者の62%が20-50歳代
二次感染の多くは県境を越えた移動のない感染者から感染
同上資料2-2 の「課題③:感染拡大の重要な要素の1つ:飲食を介しての感染 見えているクラスターだけを見ても飲食店でのクラスターが多い」のページで、6/1から12/13まで2週間単位で、下記クラスターそれぞれの発生件数とプロット。
  • 飲食店クラスター
  • 福祉施設クラスター
  • 企業等クラスター
  • 医療機関クラスター
  • 学校・教育施設等クラスター
  • 運動施設等クラスター
  • その他クラスター
同上資料2-2 の「課題③:感染拡大の重要な要素の1つ:飲食を介しての感染 クラスターの発生は飲食店で先行した後に医療・福祉施設で発生する」のページで、25から51までのクラスター発生週ごとの下記分類のクラスター数を棒グラフ表示。
  • 「その他」
  • 「医療・福祉施設」
  • 「飲食店」
同上資料2-2 の「課題③:感染拡大の重要な要素の1つ:飲食を介しての感染 レストランの再開が感染を最も増加させる」のページで、論文: Chang S, et al. Mobility network models of COVID-19 explain inequities and inform reopening. Nature. 2020 Nov 10. からグラフ「Predicted increase in infections from reopening diffrent POI categories on May 1, 2020」を引用。
このグラフを見ると、"Full-Service Restaurants" の再開店が感染拡大に最大の寄与をしている。
同上資料2-2 の「課題③:感染拡大の重要な要素の1つ:飲食を介しての感染 特に都市部では孤発例が多い」のページで、第40週から第50週にかけて、各週の孤発例の割合を、下記のそれぞれについて折れ線グラフ表示。
  • 東京
  • 全国1:大阪府を除く全国平均
  • 全国2:埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・愛知県・大阪府・兵庫県を除く全国平均
  • 北海道
東京が50~60%に対して、全国2は40%程度
同上資料2-2 の「課題③:感染拡大の重要な要素の1つ:飲食を介しての感染 例えば東京都では”見えている感染”だけを見ると家族内感染が最も多いが“見えない感染”を”見る”と・・・」のページで、10月以降診断症例 (N=18,328)の感染経路内訳を表示。
感染経路 症例数
輸入 22
夜の街 686
リンク有(その他) 1,097
孤発(夜の街以外) 12,271
家族内(初発含まず) 3,282
院内感染(初発含む) 970
同上ページ「例えば東京都では”見えている感染”だけを見ると家族内感染が最も多いが“見えない感染”を”見る”と・・・」で、下記のように説明。
  1. 東京などの都市部では感染経路不明(”見えない感染”)の割合が多い(東京都では約6割)。
  2. この感染経路が分からない感染の多くは、飲食店における感染によるものと考えられる。その理由は以下である。
    1. これまでのクラスター分析の結果、日常生活の中では、飲酒を伴う会食による感染リスクが極めて高く、クラスター発生の主要な原因の一つであることが分かっている。
    2. 感染経路が判明している割合の高い地方でも、飲酒を伴うクラスター感染が最近になっても多く報告されている。
    3. 欧州でもレストランを再開すると感染拡大に繋がることが示されてる
同上資料2-2 の「課題③:感染拡大の重要な要素の1つ:飲食を介しての感染 歓楽街の人出推移と新規陽性者数 【北海道】」から「歓楽街の人出推移と新規陽性者数 【東京都】」までの 3ページで、すすきのの人出、北海道の新規陽性者数、、ミナミ、北新地、心斎橋の人出の合計、大阪府内の新規陽性者数、歌舞伎町、六本木、池袋、センター街、新橋の人出の合計、東京都の新規陽性者数について、10/4 から 12/20 までの各週の値をグラウ表示している。それらのグラフを見ると、私には次のように見える。
  • 北海道の陽性者数の減少開始がすすきのの人出減少開始より遅れているように見える
  • 大阪府内の陽性者数の減少開始がミナミなどの歓楽街の人出減少開始と同時期に見える
  • 歌舞伎町などの人出は減少していないが東京都の陽性者数が増加しているように見える
同上資料2-2 の「課題③:感染拡大の重要な要素の1つ:飲食を介しての感染 実効再生産数(推定感染日毎):北海道」から「実効再生産数(推定感染日毎):東京都】」までの 3ページで、北海道、大阪府、東京都の、推定感染日の実効再生産数と、人流データについて、3/1 から 12/15 までのデータを表示している。
(実効再生産数は Cori et al. AJE 2013の方法で推定。人流データはNTTドコモ モバイル空間統計)それらのグラフを見ると、私には次のように見える。
  • 北海道: 11月からの時短要請以後、実効再生産数と人流が減り始めたように見える
  • 大阪府: 11月下旬からの時短要請前から実効再生産数が下がっていて、11月下旬からの時短要請以後、人流が減っているように見える
  • 東京都: 11月下旬からの時短要請後も実効再生産数や人流が上がりも下がりもしていないように見える
第20回 令和3年1月5日(火)
資料「緊急事態宣言についての提言(案)令和3年1月5日(火)」の「[Ⅳ]これまで学んできたこと」のページで、特に私の注意を引いたのは次の表現である。
特に比較的若い年齢層では、感染しても症状が軽い又は無いことも多く、気が付かずに家庭や高齢者施設にも感染を広げ、結果として重症者や死亡者が増加する主な要因の一つとなっている。
資料「緊急事態宣言についての提言(案)令和3年1月5日(火)」の「[Ⅴ]今、緊急事態宣言を発出する意義」のページで、特に私の注意を引いたのは次の表現である。
(4)知事が法的な権限を持って外出自粛要請などのより強い対策を打てるようになること。
(6)感染の早期収束により経済及び社会機能を早期に回復させること。
第21回 令和3年1月8日(金)
資料2-2「最近のクラスターの解析」で、報道情報に基づくクラスターの情報をデータベース化したものを使用して、令和2年12月以降に報告があったクラスター人数が5人以上のものを抽出している。
5人以上の感染者が発生したクラスターの内訳
  クラスター件数 感染者数
医療・福祉施設 361 8191
飲食関連 156 1664
教育施設 123 1754
職場関連 95 1103
その他 72 540
総計 807 13252

5医療・福祉施設を除いたクラスターの内訳
  クラスター件数 感染者数
飲食関連 156 1664
教育施設 123 1754
職場関連 95 1103
その他 72 540
総計 446 5061

飲食関連
  クラスター件数 感染者数
接待を伴う飲食店 77 907
飲食店 39 327
カラオケ 19 245
会食 16 134
ホームパーティー 5 51
総計 156 1664
第23回 令和3年2月2日(火
資料「緊急事態宣言下での対策の徹底・強化についての提言(案)令和3年2月2日(火)」の「[Ⅱ]解除が難しいと考えられる地域」のページを読んで、「(4)病床・医療従事者の確保強化」にかなりの分量を割いているので驚いた。分科会に対する各方面からの批判を受けた形なのかも知れないと思った。

これらの資料を読むと、分科会での論調が 徐々に「飲食店の営業時短」を対策の中心とする考え方にシフトして、2021年1月の緊急事態宣言の直前の第19回の資料で「飲食店の営業時短」の有効性を強くアピールするに至ったように見える。
分科会の資料で着目する飲食店の範囲が、「接待を伴う飲食店」 → 「酒類を提供する飲食店」 → 「酒類の提供有無を問わない」の順で拡大してきた点も気になる。つまり、「いかにも感染しそう」と思われる範囲から「そこではめったに感染しないだろう」と思われる範囲まで拡大してきたように見える。

飲食店に対する時短要請を正当化する分科会の説明は合理的か

時短要請の有効性に関する分科会の説明の欠陥

分科会資料 資料での説明 その説明の欠陥
第10回 令和2年9月25日(金)
資料7-4 「人の移動に関する分科会提言」
「2.感染リスクを高める行動」で「② 深夜におよぶ飲食」があげられている。 高齢者の昼飲みや昼カラオケを防げない。
第13回 令和2年10月29日(木)
資料5 「歓楽街分析」
飲食店が時短すれは夜の人出や人流が減る。 •人出や人流の削減が感染抑止に寄与しないことを示すデータをネット上で見ることができる。

•分科会資料によると歌舞伎町の人出が減っていない。
第19回 令和2年12月23日(水)
資料2-2 「現在直面する3つの課題」
飲食店でのクラスター件数や孤発例の件数のピークが家庭内クラスターや施設内クラスターのピークに先行しているので、飲食店がウイルス拡散の中継点になっていることを示している。 •家庭内感染や施設内感染のウイルスの大部分が飲食店由来であることが示されていない。

•孤発例に占める飲食店の割合が示されていない。

•第21回分科会資料2-2「最近のクラスターの解析」の「5人以上の感染者が発生したクラスターの内訳」を見ると飲食関連クラスターに対して医療・福祉施設クラスターが約 5倍であることから、他の感染ルートも重要ではないのか。
第20回 令和3年1月5日(火)
資料「緊急事態宣言についての提言(案)令和3年1月5日(火)」
特に比較的若い年齢層では、感染しても症状が軽い又は無いことも多く、気が付かずに家庭や高齢者施設にも感染を広げ・・・ •日本では 高齢者と若年者が同居する割合が少ない。(※1)

•無症状者はウイルスの排出が少ないらしい。

•東京都の Webページで公表されたデータが、若年層が高齢者にうつすという説に反している。(※2)

(参考Webページ: "「若者が高齢者にコロナを感染させる」のは大嘘であったことが証明されてきた - More Access! More Fun")

※1:
東京都の Webページ"「東京都世帯数の予測」の概要|東京都" (2019年03月28日版) の「図2 東京都の世帯主が65歳以上の世帯数」を見ると 2015年の 65歳以上が世帯主である世帯のうち、1人暮らしの割合が 41%であり、その割合が年々増加することが予測されている。
※2:
東京都の Webページ "最新のモニタリング項目の分析・総括コメントについて  東京都福祉保健局" (2021/03/03時点) に次のようなデータがあり、若年層が高齢者にうつすという説に反している。
「【感染状況】①-2 新規陽性者数(年代別)」を見ると2021年1月中頃から若年層の割合が減る中で、高齢者の割合が増えている。
「【感染状況】①-5 新規陽性者数(濃厚接触者における感染経路)」を見ると高齢者の感染経路の大部分が「施設」である。

新規陽性者数の年代別比率の実際の変化

厚生労働省の Webページ "国内の発生状況など|厚生労働省" (令和3年3月4日版) に 「新型コロナウイルス感染症の国内発生動向:2021年3月3日18時時点」というリンクがあった。(注:このリンクとリンク先のPDFファイルは日々更新されるらしい)
そこにリンクされていた 「新型コロナウイルス感染症の国内発生動向(速報値)(令和3年3月3日18時時点)」という標題のPDF資料の「年齢階級別新規陽性者数の推移」のグラフと「年齢階級別新規陽性者数の構成割合の推移」のグラフを見ると次のように見える。 これは次の二通りの解釈ができると思う。 後者の感染の減り方の年代差が年齢階級別構成割合の変化の原因だとしたら、飲食店での流行が高齢者の流行の先駆けだとする分科会の説明に対する疑義になる。
しかし、PCR検査人数が 2021年1月末から 2月に掛けて減っているので、前者のPCRの減り方の年代差が年齢階級別構成割合の変化の原因かも知れない。年齢階級別PCR検査数のデータを見ないと、どちらなのか判断ができない。

国民に時短要請を受け入れさせたトリック

新型コロナへの恐怖心を駆り立てる報道姿勢

不幸な重症化のみ報じる

さほど高齢でもなく、さほど基礎疾患があるわけでもないのに重症化することはある。その中に、自宅療養中に容体が急変して処置が間に合わなかったケースがり、そのようなケースばかりマスコミが好んで報道する。
本来であれば、このような事例を防ぐための医療体制の不備について報じるべきであるにも関わらず、マスコミの報道は感染者数にばかり集中しているように見える。
おかげで私も、感染して万が一重症化が始まったら死ぬんではないかと、心配である。
このようなマスコミの報道姿勢のため、安心して感染できる医療体制の整備が疎かになり、効果の薄い移動制限や営業制限などの行動制限策にばかり資源が投じられるのは残念である。

死因別順位で新型コロナの順位が高くないことに触れたがらない

死因別順位で新型コロナの順位が高くないことをマスコミが報じた例として、次の例しか私は知らない。

「教えて!ニュースライブ 正義のミカタ」の11月7日の放送での京都大学の宮沢孝幸先生の解説図から罫線付きの表を作成すると次のようになる。
死因 死者数
自殺 約2万人
ヒートショック
(入浴中の急激な血圧変化など)
約1万7,000人
インフルエンザ
(間接的死亡も含む)
約1万人
餅などによる窒息死 約8,000人
新型コロナウイルス
(宮沢先生の試算)
約3,000人程度?
【現在の死者数:1,808人】

補足1:
2021年3月の時点で新型コロナの死因ランクを知る手段として、次のように「人口動態統計月報(概数)令和2(2020)年10月分」のCSVファイルをダウンロードする方法がある。
  1. Webページ "政府統計の総合窓口" の「統計データを探す」の段落で「人口動態」をキーワードとして検索
  2. Webページ "すべて | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口" が表示されたら「人口動態調査」というリンクをクリック
  3. Webページ "人口動態調査 | すべて | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口" が表示されたらデータベースかファイルかを選ぶ欄でファイルを選択
  4. Webページ "人口動態調査 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口" が表示されたら「月報(概数)」のリンク「月次」をクリック
  5. Webページ "人口動態調査 人口動態統計 月報(概数) | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口" が表示されたら「2020年」の欄のリンク「10月」をクリック
  6. Webページ "人口動態調査 人口動態統計 月報(概数) 月次 2020年10月 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口" が表示されたら「死亡数及び死亡率(人口10万対),死因(死因簡単分類)別-対前年比較-」の欄のファイルダウンロードへのリンク「CSV」をクリック
  7. ダウンロードされた CSVファイルの先頭2行が「人口動態統計月報(概数)令和2(2020)年10月分」、「第4表 死亡数及び死亡率(人口10万対),死因(死因簡単分類)別―対前年比較―」であることを確認
ダウンロードした CSVファイルを元に、2020年1月から10月までの人口10万人当たりの累計実数の順位を調べてみたら次のようになった。
順位 死因(コードと名称) 人口10万当たり
1月~10月
累計
2020年
人口10万当たり
1月~10月
累計
2019年
総数 1,120,386 1,133,864
1 02100 悪性新生物<腫瘍> 313,572 311,858
2 18100 老衰 106,753 98,789
3 09300 脳血管疾患 84,120 87,359
4 10200 肺炎 64,965 78,915
5 10600 その他の呼吸器系の疾患 61,647 61,074
6 20100 不慮の事故 30,330 31,701
7 14200 腎不全 21,965 21,903
8 18300 その他の症状,徴候及び異常臨床所見・異常検査所見で他に分類されないもの 21,936 21,411
9 11400 その他の消化器系の疾患 21,466 21,145
10 06400 アルツハイマー病 16,938 16,897
11 05100 血管性及び詳細不明の認知症 16,905 17,413
12 20200 自殺 16,613 16,337
13 09400 大動脈瘤及び解離 14,992 15,008
14 11300 肝疾患 14,436 14,233
15 06500 その他の神経系の疾患 13,339 13,334
16 10400 慢性閉塞性肺疾患 13,306 14,714
17 04100 糖尿病 11,374 11,329
18 02200 その他の新生物<腫瘍> 10,833 11,034
19 06300 パーキンソン病 9,157 9,061
20 14300 その他の腎尿路生殖器系の疾患 8,318 7,701
21 09100 高血圧性疾患 8,055 7,782
22 13000  筋骨格系及び結合組織の疾患 7,405 7,369
23 04200 その他の内分泌,栄養及び代謝疾患 6,915 6,807
24 09500 その他の循環器系の疾患 6,668 6,421
25 20400 その他の外因 6,222 6,479
26 11200 ヘルニア及び腸閉塞 6,027 5,803
27 01600 その他の感染症及び寄生虫症 4,923 5,189
28 14100 糸球体疾患及び腎尿細管間質性疾患 4,259 3,913
29 12000  皮膚及び皮下組織の疾患 2,303 2,228
30 06200 脊髄性筋萎縮症及び関連症候群 2,129 2,215
31 05200 その他の精神及び行動の障害 1,856 1,700
32 01100 腸管感染症 1,833 1,864
33 03100 貧血 1,831 1,809
34 11100 胃潰瘍及び十二指腸潰瘍 1,818 2,028
35 03200 その他の血液及び造血器の疾患並びに免疫機構の障害 1,692 1,840
36 22200 その他の特殊目的用コード
(新型コロナに対応しているらしい)
1,673 -
37 01200 結核 1,584 1,721
38 10500 喘息 973 1,232
39 10100 インフルエンザ 941 3,281
40 17200 循環器系の先天奇形 619 668

補足2:
新型コロナの死亡者が高齢者に偏っていることから、高齢者にとって新型コロナが大きな脅威であるように思いがちであるが、高齢になるほど死因ランク上位の老衰や肺炎、事故などの割合が高くなることから、さほど脅威でない。

例年のインフルエンザの死者数より死者が少ないことに触れたがらない

2020年の早い段階から、新型コロナの死亡者数が例年のインフルエンザの死亡者数より少ないことがネット上で指摘されてきた。
ネット上では発見者と懐疑派の間でしばしば議論されてきたが、マスコミの報道ではあまり見かけないような気がする。

補足1: 新型コロナの死亡者数がインフルエンザの半分ほどであることが政府統計から明らかになっている
Webページ "人口動態調査 人口動態統計 月報(概数) 月次 2020年10月 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口" の「死亡数及び死亡率(人口10万対),死因(死因簡単分類)別-対前年比較-」の欄のリンクでダウンロードした CSVファイルを見ると、2019年1月~10月のインフルエンザによる人口10万当たりの累計死亡者数は 3,281で、2020年1月~10月の新型コロナによるそれは 1,673である。

補足2: 2020年のインフルエンザ死亡者数が激減している原因
次のような説があるが、2021年3月時点で、いずれも確認されていないようである。

2020年の超過死亡がマイナスであることに触れたがらない

新型コロナが単独では、さほど脅威でないとしても、年間の全死者数を押し上げる働きがあるなら、それなりに怖い病気だと言える。しかし実際は 2020年の超過死亡はマイナスであった。このことは、新型コロナが、全死者数の観点でもさほど怖い病気でないことを意味している。
しかし、超過死亡がマイナスだという話題をテレビで報道したという話を聞いたことがない。

2020年の超過死亡に関する参考Web資料:

発症者に占める重症者の割合を報道しない

厚生労働省のWebページ "都内の最新感染動向 | 東京都 新型コロナウイルス感染症対策サイト"の「発生状況」リンクから 2021/03/09 にダウンロードしたダウンロードした csv ファイルによると次のようである。
  csv
ファイル
の数値
入院治療等を要する者の数 12,154
入院
(重症)
380
この表の値から計算すると、入院治療等を要する者に対する重症者の割合は 3.1%であり、かなり小さいと私は感じる。
厚生労働省による「入院治療等を要する者の数」に宿泊療養や自宅療養、入院調整中などが含まれていると思われるが、仮に含まれていないとした場合、それらも含めて計算すると重症者の割合はもっと小さくなる。

参考:東京都の値
東京都のWebページ "都内の最新感染動向 | 東京都 新型コロナウイルス感染症対策サイト" (2021/03/09時点) の「検査陽性者の状況」の段落によると、陽性者数累計 113,571人の内訳は次のようである。
内訳 人数
入院(軽症、中等症) 1,381
入院(重症) 46
宿泊療養 417
自宅療養 570
入院・療養等調整中 285
死亡 1,479
退院等 109,393
東京都による「重症者」の定義が他自治体と異なるらしいので、参考にしかならないが、重症者の割合は、入院全体に対して 3.2%、入院/宿泊療養/自宅療養/入院・療養等調整中を合算した現役陽性者全体に対して 1.7%である。

私の記憶では、マスコミの報道に重症者数の報道はたまに見たような気がするが、重症者の割合に関する報道を見たことがないような気がする。

ファクターXの効果の話題を避ける

日本を含む中国東側周辺国はファクターXの効果で人口当たり死亡者数が欧米に比べて格段に少ない。米国の 2% から 8% で、日本は米国の約4% である。
このことは日本人が免疫の鎧で守られていることを示しているが、そのことを折に触れて取り上げる報道姿勢が日本のマスコミに見られないように思う。
例えば南アフリカの変異株が英国で流行し始めたことをきっかけにして、日本に流入した場合の不安をあおる報道をするような場合、ファクターXの話題を避けているように見えた。

新規陽性者数を「感染者数」と偽って報道する

マスコミが「感染者数」として報じている数値は実際は「新規陽性者数」であり、新型コロナの流行度合とPCR検査の流行度合の掛け算による数値である。新規陽性者数に比べて、陽性率の増減の方が実際の感染者数の増減をよく表している。
新規陽性者数を「感染者数」と偽わる報じ方をすると次のような効果がある。

発症者に対するケアが不足しているように感じる

感染した場合の発症率は高くないので、全体的には新型コロナは怖くないが、発症者に対する重症者や死者の割合は欧米に比べて低くない。
さらに、発症から重症化に変化する兆しもないまま容体が急変することが多いらしい。
これらのことから、ある先生がツイートで「風邪のちょっと悪いヤツ」と形容したのは全体としては正しいが、いざ熱や咳が出始めたら安心してはいられない。
熱や咳が出始めたとき、インフルエンザのときは何も考えずに近所の医院に駆け込めばよいが、新型コロナの場合は、なんとかセンターとやらに連絡したりとか、手続きに手間がかかるらしいことが、人々の不安を増す。
ところが緊急事態宣言や時短要請を推し進める勢力(厚生労働省、マスコミ、都府県知事、医師会など)も、それに疑義を唱える勢力(いわゆる「感染症村」の住民でない大学の先生たちなど)も、下記に熱心でないような気がする。 緊急事態宣言派はもっぱら恐怖心を煽るばかりである。他方の反対勢力派も、罹った人の容体観察体制に関する提案に熱心でないように見える。
その結果、全体的にはほぼ風邪にすぎない新型コロナの恐怖が大きくなるばかりである。

時短要請派に不利な情報の隠蔽

死亡者の大半が 70歳以上であることを隠す

私は NewsDigest というサイトの 「新型コロナウイルス 日本国内の最新感染状況マップ・感染者数」 という標題の Webページを見て、早くから新型コロナの死亡者の多くが70歳以上であることを知っていたので、他の人もそのことをよく知っていると思っていた。
厚生労働省によると、2019年日本人の平均寿命は女性87.45歳、男性81.41歳であるらしいので、新型コロナの死亡者の多くが 70歳以上だという事実は、多くの人にとって新型コロナに対する恐怖心を和らげる力があると思う。
しかし、ツイッターでの人々の発言や、緊急事態宣言の延長に関するアンケート結果などを見ると、高齢者でもないのに新型コロナが人を死に至らしめる恐ろしい病気だという観念を持っている人が 2021年になってもまだ多そうである。
参考Web資料: そういえば、下記で新型コロナ死亡者が高齢者に偏っていることを国民に説明する内容を見た記憶がない。
新型コロナウイルス感染症について|厚生労働省 「(2021年1月時点)新型コロナウイルス感染症 の“いま”についての 10 の知識(※2021年1月29日掲載)」 というリンクでダウンロードできるPDFファイルで「診断された人のうち、死亡する割合(%)」という表が図示されているが、これは各年代別の計算なので別物。

政府の Web資料に新型コロナの年代別死亡者数のデータを探して次の Web資料が見つかるまで苦労した。官庁、政府、官庁系の専門家のいずれも、新型コロナの死亡者が高齢者に偏っていることがわかるデータの公表に積極的でないように見えた。 厚生労働省の Web資料 "新型コロナウイルス感染症の国内発生動向(速報値)"の令和3年3月3日18時時点の版によると令和3年3月3日18時時点の年代別の感染者数と死亡者数は次ようである。

陽性者数(人)
  10歳未満 10代 20代 30代 40代 50代 60代 70代 80代以上 年齢階級計
男女計 12294 28350 94472 64755 61799 57082 37338 33615 34987 432252
6236 15609 49129 37201 35549 31336 20824 17414 12788 226935
5775 12331 44572 26944 25680 25150 16075 15860 21878 195148

死亡者数(人)
  10歳未満 10代 20代 30代 40代 50代 60代 70代 80代以上 年齢階級計
男女計 0 0 3 16 57 175 564 1736 4772 7366
0 0 3 10 42 147 440 1239 2388 4280
0 0 0 5 15 25 117 478 2322 2973
男女計では、70代以上の死亡者数が全体の訳9割である。

時短要請の影響を受ける飲食店従業員の数を報じない

私は、東京都の外食産業の従業員数は、少なくとも 60万人以上だと思う。
Webページ "産業別就業者数|早わかり グラフでみる労働の今|労働政策研究・研修機構(JILPT)" によると2020年平均で「宿泊業・飲食サービス業」の人口が 391万人で全体に対して 5.9%らしい。

総務省の Webページ "統計局ホームページ/平成26年経済センサス‐基礎調査 調査の結果" のリンク 「結果の概要(PDF:1,178KB)」 からダウンロードしたPDFファイルの資料の「表Ⅰ-3 都道府県別民営事業所数及び従業者数」によると、平成26年の東京都の従業員数は 9,185,292人で、全国の 57,427,704人の約 16%である。

飲食店の人口が「宿泊業・飲食サービス業」の人口 391万人のほぼ全体を占めているとし、東京都が全体の 16%だとすると、東京都の飲食店従業員数は、約 60万人となる。

上記とは別に、「東京都における外食産業の概況」と題した資料のPDFファイルが東京都の環境局のサイトにあるのを見つけた。「平成26年経済センサス‐基礎調査」に基づく資料らしい。その中の「グラフ2-3 都内飲食店従業員数」によると、複数事業所で 751,228人、単一事業所で 154,626人である。合計すると約 90万人になる。

厚生労働省の Webページ "平成30年度衛⽣⾏政報告例の概況|厚⽣労働省" のリンク「食品衛生関係」からリンクされたPDFファイルの「図6 営業許可種別にみた主な食品関係営業施設数の年次推移」を見ると「喫茶店営業」の施設数が平成 21年度から 30年度にかけて減り続けている。
東京都の Webページ "新型コロナウイルス感染症に関連した死亡者の情報 東京都福祉保健局" のデータによると 2021年1月1日~2021年2月28日の死亡者数が 732人なので、仮に時短要請に効果があったとしても、その効果で減った新型コロナ病死者数は,多くて数人~数十人だろうと思う。
それに対し、私の勘で、時短要請の影響で職を失った人が 60万人の 1割の 6万人だとすると、時短要請に効果がなかったとしたら、 6万人が無駄に職を奪われていたことになる。

命と失業は比較できないという人がいるかも知れないが、失業は直接・関節的に自殺を増やすのである。
それゆえ、新型コロナの病死者を減らすためには、私は休業要請や時短要請に替わる他の方策 (※1, ※2)をとるべきだと思う。
どうしても時短要請をしたいのであれば、分科会が当初想定していたように酒類を提供する店に限定すべきだと思う。

※1 「他の方策」としては、高齢者施設の感染防護策と、医療体制の拡充策をとるべきだという意見が、新型コロナをよく研究している人たちから出されている。
※2  飲食店での対策としても、設備の改良や高齢者の入店制限、大声の客に出ていってもらう、など、さまざまなアイデアがある。

飲食店従業員が就労者全体の中でマイナーな存在であることが、「飲食店いじめ」のような時短要請が強行される背景にあるのかも知れない。

他の方策と費用対効果を比較しない(政府系専門家もマスコミも)

飲食店への時短要請や緊急事態宣言の目的の中で「医療逼迫対策」が上位に位置している。都府県知事や大臣の発言を見ると、「医療逼迫対策」は「最優先の目的」であるように見える。

「医療逼迫対策」が目的であるならば、時短要請や緊急事態宣言よりはるかに費用対効果の優れた他の方策があると、ネット上で早くから指摘されている。

ネット上の意見の例:
これらの提言の一部は「コロナ専門病院から回復期患者を受け入れる一般病院への自治体からの補助」という形で現実化されている。(例:東京都目黒区)

「高齢者施設での集団感染防止」という目的についても、時短要請や緊急事態宣言よりはるかに費用対効果のすぐれた方策の存在がネットで指摘されている。

ネット上の意見の例:
しかし、テレビなどマスコミの報道は「緊急事態宣言一色」であり、3月に入って緊急事態宣言の解除が近づいた時点で、総理大臣に「解除して不安はないですか」などと質問をするテレビ局もある始末である。

目に付きやすくウイルス伝播を説明しやすい飲食店をウイルス拡散の中継基地に見立てた

飲食店での会食には次のような特徴があると、私は思う。
目につきやすい
駅に近づくにつれ数が増える
行燈型看板
いかにも 3密に見える
会食には会話がつきもので、飲んでしゃべってを交互に行う
居酒屋の場合、声が大きい

これらのことが飲食店をウイルス拡散の中継基地に見せているのではないだろうか。
そして飲食店以外のウイルス拡散ルートを人々の意識から見えなくしてしまったのだろう。

緊急事態宣言や時短要請の効果を誇大化する報道姿勢

緊急事態宣言に効果があったように思わせた

意図して実行しているのか、偶然なのかわからないが、2020年4月の緊急事態宣言も、2021年1月の緊急事態宣言も、流行のピークに差し掛かる頃に発出されて、流行が沈静化するにつれ、「沈静化は緊急事態宣言の結果」であるという判断のもとに、延長の議論をし、「緊急事態宣言を延長した結果、充分に沈静化した」という説明で解除に至るという道筋をたどっている。

データをよく見ている人たちには、2020年5月の沈静化も、2021年2月の沈静化も、緊急事態宣言の効果によるものでないことが分かっているが、政府および府系専門家の発表やマスコミの報道しか見ない人にはそれが分からない。
緊急事態宣言の効果で感染が鎮まって来たと思い込んでいる人が「緊急事態宣言は有害無益だから直ちに解除せよ」という意見を見聞きすると、とんでもない暴言のように思えるのだろう。

新型コロナウイルスの「封じ込め幻想」が派生した

2021年2月末のマスコミによる世論調査によると 2月2日に 3月7日まで延長された緊急事態宣言の再度の延長を望む声が大多数になったらしい。それが本当だとしたら、緊急事態宣言の効果で感染が鎮まって来たと思い込んでいる人たちは、この調子でいけば「感染者ゼロ」に近づくという幻想を抱いたのだろう。
参考Web資料:
野党や医師会などが「ゼロコロナ」とか、「解除はあり得なかった」などと主張し始めたのも、そうした大衆の意識に便乗しての動きだと思う。
参考Web資料:

「凶悪な病原体」という集団妄想

マスコミが作り出した妄想が「凶悪な病原体」を大衆の頭の中に作り出した

緊急事態宣言や飲食店への時短要請を求める民衆の頭の中にあるのは客観的なウイルスではなく、妄想が作り出した現実からかけ離れた凶悪な病原体のイメージである。下記のようなアンケート調査が、そのことを示していると思う。

テレビの報道番組でのアンケート調査結果
2021年3月4日のフジテレビの朝の番組「情報プレゼンター とくダネ!」で、緊急事態宣言を延長要否に関する意識が職業によって異なることを示すアンケート結果を棒グラフで表示していた。
テレビ画面の「回答:全国 20歳以上の男女 500人」とテレビ画面に書かれている。テレビ画面の棒グラフを元に表にすると次のようになる。
職業 延長すべき どちらとも
いえない
延長すべき
ではない
会社員 65.8% 16.4% 17.7%
小売り・サービス 58.3% 29.1% 12.5%
医療・福祉 22.2% 33.3% 44.4%
公務員 80% 0% 20%
私は、これを見て人々が 3つのグループに分かれているように思った。

「自分も死ぬかもしれない」という恐怖が「凶悪な病原体」という妄想を拡大する

日本インフォメーション(株) の Webページ
"緊急事態宣⾔再び|⽣活者の今を探る(①新型コロナウイルスへの意識編) | アンケート調査・マーケティングリサーチなら日本インフォメーション株式会社"
で新型コロナに対する国民の意識の分布を見ることができる。

その「■調査概要」の章によると、日本全国の20~79歳の男女を対象とし、平成27年国勢調査の性年代構成比に合わせて割付た1,015サンプルについて、2021年1月13日、14日に、インターネット調査を行ったらしい。

「■主な調査結果」の「⑤|緊急事態宣⾔時に不安に思うこと(1・2回⽬宣⾔時⽐較)」の章のグラフの 2回目の緊急事態宣言に関する数値 (日本インフォメーション(株)調べ) を見て、次のように私は理解した。
これらから私は、「罹ったら死ぬかも知れない恐ろしい病原体」というイメージを、国民が新型コロナに対して持っているのだろうと思った。

東京都による医療が逼迫しているという宣伝が「自分も死ぬかもしれない」という恐怖のもとではないか

東京都などが医療逼迫を宣伝しつづけた結果、人々に医療が逼迫していると誤認させ、急事態宣⾔の延長を求めさせたのだと、永江一石さんという人がブログで分析している。
(参考 Webページ "意識調査で緊急事態宣言延長に賛成という人が殆どなのはなぜか - More Access! More Fun")

医療が逼迫しているという誤認識は、新型コロナに罹ったら死ぬかもしれないという恐怖の原因の一つだと、私は思う。

「凶悪な病原体」という集団妄想の威力

新型コロナで病死する人の命の価値が他の死因を無視させる程に拡大した

新型コロナの病死者がインフルエンザより少ないことをツイッターで述べる人に対して、「家族を新型コロナで失った人の前で同じことを言えるのか」などと、ツイート返しをした人がいる。
このようなツイート返しをする人の頭の中では新型コロナで病死した人の命の価値が、インフルエンザで病死した人の命の価値の何十倍もの価値があるのだろうと思った。
そして飲食店への時短要請を肯定したり、緊急事態宣言の延長を望んだりする人たちも同様に、新型コロナで病死した人の命の価値が、インフルエンザで病死した人の命の価値の何十倍もの価値があるのだろうと思った。

マスコミに洗脳された人が、全国民が自分と同じように恐れおののいていると錯覚した

2021年3月に緊急事態宣言の延長を1都3県の知事が国に要請する前の根回しの段階での都知事のふるまいを、緊急事態宣言の延長が決まった後で神奈川県知事が批判したとき、1都3県の人たちが頑張ろうと思っているときにそのような批判で水をさすべきでない、というような意見を持つ人がいた。
このような意見を述べる人の頭の中には、全国民が自分と同じ程度に新型コロナを恐れているという錯覚があるのかも知れない。
これは、最近ネットで「主語がでかい」と形容される、社会心理学的錯覚の一種だと思う。

予想外の事態の発生を緊急事態延長の口実にする

感染者数(正しくは「新規陽性者数」)の下げ止まりを理由に緊急事態延長解除の条件を変えようとする
東京都の Webページ "都内の最新感染動向 | 東京都 新型コロナウイルス感染症対策サイト" の 「モニタリング項目(1) 新規陽性者数」のグラフを見ると 2月中頃には500を下回ったものの、3月に入ってから 300の当たりを上下している。これを「下げ止まり」と称して、緊急事態宣言の解除の条件を 140程度などに下げようとする動きが都知事やマスコミに見られる。
しかし、「モニタリング項目(4) 検査の陽性率」のグラフを見ると、3月に入ってからの陽性率は第2波が治まった 9月頃の陽性率と同じ程度であることから、実際は「下げ止まり」ではなく、「底を打った」状態であることがわかる。
都知事やマスコミの動きは、「下げ止まり」のように見える現象が人々が持つ「凶悪な病原体」というイメージを拡大することに反応したものだろう。

参考Web資料 :
新型コロナの変異が「凶悪な病原体」の脅威を増したように、人々に思わせた
新型コロナウイルスは2019年に発生してから2020年を通して多数の変異を繰り返して来て、性質の大きな変化をともなう変異も何回も繰り返されてきた。2020年暮れに南アフリカで発生し英国で大流行し始めた変異型もその一例である。そのことを知らせずに「感染力が増した」とだけ報じるマスコミの報道姿勢のため、人々に与える恐怖が誇大なものになったと思う。
このことを口実に、新規陽性者数を徹底的に下げないと「リバウンド」と再度の緊急事態宣言を繰り返すことになると、脅すような試算をする学者が現れ、マスコミに紹介される事態となった。
実際には、南アフリカ由来の変異ウイルスが大流行した英国の陽性者数のグラフを見ると、2020年12月に新規陽性者数が上昇を始めたものの、2021年1月初旬に早々とピークを打っているので、感染力の増加といっても、次元が異なるほどのものでなかったことがわかる。

専門家も、人々が新型コロナに抱く「凶悪な病原体」というイメージが妄想であることを理解している

分科会の尾身先生の場合
Webページ "尾身会長、年内終息見込めず 「冬までは感染広がる」 | 共同通信" (2021/3/5 付け) によると、2021年3月5日の参院予算委員会で、終息の定義として「さらに1年、あるいはさらにもう1年たち、季節性インフルエンザのように、それほど不安感がなくなれば終息となる」という考えを分科会の尾身会長が披露したそうである。
尾身先生の認識では、新型コロナは季節性インフルエンザと同程度の脅威であり、「凶悪な病原体」というイメージをお持ちではないのだろう。

東京都医師会の場合
ある人のツイートで、東京都医師会感染症危機管理対策協議会による 2020年2月13日付けの「新型コロナウイルス感染症に関する都民の皆様へのお願い」と題する文書の画像が披露された。その「新型コロナウイルス感染症の感染力、重症度、診断、治療について」の章に次のような意味のことが書いてある。
  • ① 感染力はインフルエンザと同程度がそれより弱いと言われています
  • ② 重症度は、通常のインフルエンザなどと同程度と予想されます。(例年のインフルエンザでも高齢高齢者や免疫力の低下した方など重症化し死亡する場合が一定数みられます)
  • ③ 簡易的な診断方法が現時点ではありません
  • ④ 治療薬はありません(インフルエンザに対するタミフル®のような抗ウイルス薬はまだありません)
  • <<<以下略>>>
重症度については現在の最新の知識から見て完全に正しい。感染力については、私には判断できない。簡易的な診断方法や治療薬については、2021年3月現在ではさまざまな方法がある。しずれにせよ。盛んに緊急事態宣言を主張しつづけて来た東京都医師会も、新型コロナの脅威はインフルエンザと同程度だと理解していたことがわかる。

緊急事態宣言が 2021年3月に解除された後はどうなるのだろう

時短要請派が「まん延防止等重点措置」(通称「マンボウ」)なる新たな武器を持った

2021年3月の改正で 新型インフルエンザ等対策特別措置法 と 新型インフルエンザ等対策特別措置法施行令に「新型インフルエンザ等まん延防止等重点措置」が組み込まれ、国が指定する地域と期間において、政令で定める措置を、都道府県が事業者に要請したり命令したりできるようになり、命令違反者を過料に処すようになった。
以下、2021年3月の改正内容のうち、「新型インフルエンザ等まん延防止等重点措置」に関係する部分の中から、飲食店に関係ありそうな部分を抜粋してみた。

新型インフルエンザ等対策特別措置法の令和三年法律第五号による改正の抜粋

第三十一条の四の抜粋
(新型インフルエンザ等まん延防止等重点措置の公示等)
第三十一条の四 政府対策本部長は、新型インフルエンザ等(国民の生命及び健康に著しく重大な被害を与えるおそれがあるものとして政令で定める要件に該当するものに限る。以下この章及び次章において同じ。)が国内で発生し、特定の区域において、国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある当該区域における新型インフルエンザ等のまん延を防止するため、新型インフルエンザ等まん延防止等重点措置を集中的に実施する必要があるものとして政令で定める要件に該当する事態が発生したと認めるときは、当該事態が発生した旨及び次に掲げる事項を公示するものとする。
一 新型インフルエンザ等まん延防止等重点措置を実施すべき期間
二 新型インフルエンザ等まん延防止等重点措置を実施すべき区域
三 当該事態の概要
2 前項第一号に掲げる期間は、六月を超えてはならない。

第三⼗⼀条の六の抜粋
(医療等の実施の要請等)
第三⼗⼀条の六 都道府県知事は、第三⼗⼀条の四第⼀項に規定する事態において、国⺠⽣活及び国⺠経済に甚⼤な影響を及ぼすおそれがある同項第⼆号に掲げる区域(以下この条において「重点区域」という。)における新型インフルエンザ等のまん延を防⽌するため必要があると認めるときは、新型インフルエンザ等の潜伏期間及び治癒までの期間並びに発⽣の状況を考慮して当該都道府県知事が定める期間及び区域において、新型インフルエンザ等の発⽣の状況についての政令で定める事項を勘案して措置を講ずる必要があると認める業態に属する事業を⾏う者に対し、営業時間の変更その他国⺠⽣活及び国⺠経済に甚⼤な影響を及ぼすおそれがある重点区域における新型インフルエンザ等のまん延を防⽌するために必要な措置として政令で定める措置を講ずるよう要請することができる。
<<<途中省略 >>>
3 第⼀項の規定による要請を受けた者が正当な理由がないのに当該要請に応じないときは、都道府県知事は、国⺠⽣活及び国⺠経済に甚⼤な影響を及ぼすおそれがある重点区域における新型インフルエンザ等のまん延を防⽌するため特に必要があると認めるときに限り、当該者に対し、当該要請に係る措置を講ずべきことを命ずることができる

第四十五条の抜粋
第二節 まん延の防止に関する措置
(感染を防止するための協力要請等)
第四十五条 特定都道府県知事は、新型インフルエンザ等緊急事態において、新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため必要があると認めるときは、当該特定都道府県の住民に対し、新型インフルエンザ等の潜伏期間及び治癒までの期間並びに発生の状況を考慮して当該特定都道府県知事が定める期間及び区域において、生活の維持に必要な場合を除きみだりに当該者の居宅又はこれに相当する場所から外出しないことその他の新型インフルエンザ等の感染の防止に必要な協力を要請することができる。
2 特定都道府県知事は、新型インフルエンザ等緊急事態において、新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため必要があると認めるときは、新型インフルエンザ等の潜伏期間及び治癒までの期間並びに発生の状況を考慮して当該特定都道府県知事が定める期間において、学校、社会福祉施設(通所又は短期間の入所により利用されるものに限る。)、興行場(興行場法(昭和二十三年法律第百三十七号)第一条第一項に規定する興行場をいう。)その他の政令で定める多数の者が利用する施設を管理する者又は当該施設を使用して催物を開催する者(次項及び第七十二条第二項において「施設管理者等」という。)に対し、当該施設の使用の制限若しくは停止又は催物の開催の制限若しくは停止その他政令で定める措置を講ずるよう要請することができる。
3 施設管理者等が正当な理由がないのに前項の規定による要請に応じないときは、特定都道府県知事は、新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため特に必要があると認めるときに限り、当該施設管理者等に対し、当該要請に係る措置を講ずべきことを命ずることができる。
4 特定都道府県知事は、第一項若しくは第二項の規定による要請又は前項の規定による命令を行う必要があるか否かを判断するに当たっては、あらかじめ、感染症に関する専門的な知識を有する者その他の学識経験者の意見を聴かなければならない。
5 特定都道府県知事は、第二項の規定による要請又は第三項の規定による命令をしたときは、その旨を公表することができる。

第七十九条と第⼋⼗条の抜粋
第七章 罰則
<<<途中省略 >>>
第七十九条 第四十五条第三項の規定による命令に違反した場合には、当該違反行為をした者は、三十万円以下の過料に処する。
第⼋⼗条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反⾏為をした者は、⼆⼗万円以下の過料に処する。
⼀ 第三⼗⼀条の六第三項の規定による命令に違反したとき。
⼆ 第七⼗⼆条第⼀項若しくは第⼆項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、⼜はこれらの規定による⽴⼊検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくはこれらの規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をしたとき。

新型インフルエンザ等対策特別措置法施行令の令和三年政令第二十八号による改正の抜粋

第五条の五の抜粋
(重点区域におけるまん延の防止のために必要な措置)
第五条の五 法第三十一条の六第一項の政令で定める措置は、次のとおりとする。
一 従業員に対する新型インフルエンザ等にかかっているかどうかについての検査を受けることの勧奨
二 当該者が事業を行う場所への入場(以下この条において単に「入場」という。)をする者についての新型インフルエンザ等の感染の防止のための整理及び誘導
三 発熱その他の新型インフルエンザ等の症状を呈している者の入場の禁止
四 手指の消毒設備の設置
五 当該者が事業を行う場所の消毒
六 入場をする者に対するマスクの着用その他の新型インフルエンザ等の感染の防止に関する措置の周知
七 正当な理由がなく前号に規定する措置を講じない者の入場の禁止
八 前各号に掲げるもののほか、法第三十一条の四第一項に規定する事態において、新型インフルエンザ等のまん延の防止のために必要な措置として厚生労働大臣が定めて公示するもの

これらの改正内容を見ると、飲食店を目の敵にしている知事のいる都府県は大変なことになりそうな気がする。

ちなみに、(株)グローバルダイニングに東京都から届いた命令事前通知書(令和3年3月15日付け)は第四十五条の3の規定によるものである。

参考Web資料:

しかし人々の意識は変わってきている

新型コロナに関する下記の基本知識がなかなか広まってこなかった。 しかし、2021年3月21日の緊急事態宣言期限が近づくにつれ、下記のような新しい動きが見られるようになった。

分科会の尾身先生が、予算委員会でコロナを抑え込むことはできないと明言してくれた
2021年3月5日の参院予算委員会で、「年内に人口の6、7割がワクチン接種を受けると仮定しても「おそらく今年の冬までは感染が広がり、重症者も時々は出る」という考えを分科会会長の尾身先生が披露したそうである。

参考 Web資料:
コロナ禍に起因する自殺増を報じるテレビやマスコミも増えて来た
2020年の10月や11月の自殺者数のデータや、2020年の年間の自殺者数のデータは、コロナ禍によると思われる自殺者数の増加を示している。いつもは新型コロナの病死者数のみ報道したがるマスコミも、女性や児童・生徒の自殺が増加していることに反応して報道するようになった。

参考 Web資料: 女性の自殺増のニュースに比べて児童・生徒の自殺増のニュースの方がマスコミの関心を引いたことがわかる。

医療体制改革を説く医師会長が現れた
2021年3月に入って、東京都医師会長が、それまでの緊急事態宣言オンリーの論調を捨てて、医療や介護の施設がコロナ専門病院の枠にとらわれずに協力して新型コロナに対応していこうと意見表明を行った。

参考 Web資料:
時短要請が若干緩和された
緊急事態宣言を解除する政府の方針を 2021年3月18日の基本的対処方針等諮問委員会で了承したが、そのとき、飲食店への営業時間の短縮要請については、4都県は1時間緩和し、午後9時閉店を求めることで一致したらしい。

参考Web資料:

このように人々の意識が変わって来ているので、都府県知事たちも、飲食店への要請の際に節度を保ってくれることを期待したい。


用語解説



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