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2022/06/07 10:14:18
初版 2022/06/07
超過死亡とワクチンの関係に関する議論に現れた錯覚現象
2021年12月の第76回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会で出された感染研の資料の中で、ワクチン接種が超過死亡発生の原因である可能性に対して否定的な議論がされていました。しかし、2021年からの総死亡激増をワクチン抜きでは説明が困難なため、多くの人がこの資料を批判していて、そうした批判の中で感染研の資料のロジックが錯覚にもとづいていることに気付いている人もいました。
目次 |
問題の感染研の資料のロジック
当該資料を読む方法
Webページ "厚生科学審議会 (予防接種・ワクチン分科会 副反応検討部会)"からリンクされている第76回の資料
(標題「第76回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和3年度第28回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催) 資料」)
のリンク「鈴木参考人提出資料」
をクリックするとpdfファイルが開く。
問題になった箇所に書かれているロジック
定義ある時点(週単位)の実際の死亡数が、例年の同時期の数値から予測される死亡数の95%片側予測区間上限値を上回った場合を、超過死亡の発生と定義する。
方法
2021年の週単位のワクチン接種数のグラフと、週単位の「実際の死亡数 – 95%片側予測区間上限値」 のグラフを対比する。
結論
超過死亡が新型コロナワクチン接種数の増加に1ヶ月程度あるいはそれ以上先立って発生していることから、超過死亡数の発生と、新型コロナワクチン接種数の間の時系列的な関係は説明が難しいと結論づけている。
感染研の資料のロジックの無意識のミス
感染研のロジックは無意識に下記の仮定をしていたのだと、私は思う
ワクチンによる死亡が超過死亡の原因である場合、どの超過死亡発生イベントがワクチンによる死亡に起因するか特定できる。
しかし、ワクチンに起因する超過死亡発生イベントを特定できるとは限らないのでこの仮定は誤りである。
- ワクチンによる死亡の増加の少し前に他の要因の死亡の増加が起きている場合にはワクチンによる死亡に起因する超過死亡発生イベントがない。
- ワクチンによる死亡には接種後短期間で起こるものと長期間の後に起こるものがある。
このミスに気づいた人たち
下記の例があります。- ある人が、あるSNSで、「ワクチン接種と超過死亡の関係を調べるのであれば、 ワクチン接種数のピークの後、つまり6月以降の超過死亡数の推移を分析しなければなりません」と述べています。
感染研の超過死亡のデータこそ、ワクチンによる超過死亡への寄与を示唆していることに気づいた人たち
下記の例があります。- ある人が、あるブログで、「1月の最終週以降、全国で高齢者のワクチン接種が開始される4月12日までは、観測死亡数が予測死亡数を超えることがなかった。 <<< 中略 >>> ところが、ワクチン接種が開始された翌週からは、一貫して観測死亡数は予測死亡数を超え、9月末までの超過死亡の総数は4万人を超えている」と述べています。
感染研の姿勢に対する疑念
薬害を論じるときには超過死亡は不適切
くだんの感染研の資料は「超過死亡が発生しなければワクチンによる死亡が発生しても問題視しない」という姿勢、言い換えれば、一人のコロナ死が減るのであれば一人のワクチン死が増えても引き合うという考え方にもとづいていると思う。しかし、人によって程度は異なるものの、コロナで死ぬよりワクチンで死ぬ方がよっぽど屈辱的である。こうしたことから超過死亡に着目して薬害を論じるのは不適切だと私は思う。総死亡の内訳にこそ着目しなければいけない。