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2021/02/23 2:05:42
初版 2021/02/23

国民に緊急事態宣言を求めさせたメディアや官僚のトリック

2021年2月に緊急事態宣言の延長が話題になったとき、「緊急事態宣言を出したからここまで感染者が減った」という考えを持っている人が知り合いの中にいて、びっくりして、それまでにメディアと厚生労働省が国民をミスリードしてきたトリックを整理してみました。

目次

 

「感染者数」という語を使うトリック

「陽性者数」を「感染者数」と誤報している

厚生労働省や自治体が公表しているのは「陽性者数」

下記の Webページを見ればわかるが、厚生労働省や東京都が公表しているデータに「感染者数」などという項目はなく、あるのは「陽性者数」である。
そもそも、新型コロナに感染した人の多くが検査を受けないのだから、感染者数がわかるわけもない。

「陽性者数」の増減は感染者数の増減よりむしろ、検査数の増減を表している。

厚生労働省の Webページ "オープンデータ|厚生労働省" からダウンロードした 「陽性者数」の csvファイルと「PCR検査実施人数」の csvファイルをそれぞれグラフにしてみたら、次のようになった。


これらのグラフを見比べると、新型コロナが流行っているというよりはむしろ、PCR検査が流行っていると言うべきであることがわかる。

「陽性者数」を「感染者数」と偽って報道する効果

陽性者数の増減より陽性率の増減の方が感染状況をよく反映する

陽性者数は人々の検査を受けたい気持ちの大小の影響を受けるが、陽性率はそのような影響を受けにくいので、陽性率の増減の方が実際の感染者数の増減を、より正確に反映しているだろう。

陽性率のグラフよりも陽性者数のグラフの方が国民の不安感を掻き立てる力がある

厚生労働省の Webページ "オープンデータ|厚生労働省" からダウンロードした 「陽性者数」の csvファイルと「PCR検査実施人数」の csvファイルを利用して陽性率のグラフを作ったら次のようになった。
注1:陽性者数の7日平均を検査数の7日平均で割った値を陽性率として計算しました。
注2:2020年5月ごろまでは、PCR検査の対象を感染の疑いが濃い人に限定しているため、除外。

比較のために陽性者数のグラフも作った。

陽性率のグラフを見せることに比べると、陽性者数のグラフを見せることには、第2波に較べて第3波が大きく見える効果と、第3波のピークアウト前の期間を通じてグラフが急上昇しているように見える効果がある。

ファクターXを考慮しない報道姿勢

ファクターXの存在は客観的事実

欧米と中国東側周辺国の累計死者数を比べるとファクターXの存在がはっきりわかる

Webページ "Coronavirus Update (Live): 110,837,535 Cases and 2,452,583 Deaths from COVID-19 Virus Pandemic - Worldometer" に表示された 2021年2月19日ごろの累計死者数のデータから、欧米や東アジアの国をいくつかピックアップしてみたところ、次のようになった。

百万人当たり累計死者数
米国比
USA 1,513 100.0%
UK 1,746 115.4%
France 1,272 84.1%
Spain 1,418 93.7%
Germany 799 52.8%
Sweden 1,239 81.9%
Indonesia 123 8.1%
Philippines 105 6.9%
Japan 56 3.7%
Malaysia 31 2.0%
S. Korea 30 2.0%
Thailand 1 0.1%
Vietnam 0.4 0.0%
Taiwan 0.4 0.0%

この結果は、中国東側周辺国にファクターXがあることをはっきりと示している

ファクターXの効果は感染もしくは発症の抑止である

ファクターXのある国々と、ファクターXのない国々(重症化因子のある国々と呼ぶべきかも知れない)の陽性率を比較してみた。
いくつかの国について、Webページ "Coronavirus Pandemic Data Explorer - Our World in Data"で陽性率がピークを打った日の陽性率と検査件数を調べて表にしたところ、次のようになった。(対象とするピーク日については、なるべく2020年暮れに近いピークを選んだ)

ピーク日 陽性率
(7日間平均)
千人当たり
検査件数
(7日間平均)
USA 2021/01/02 15.4% 4.44
UK 2021/01/04 12.8% 6.34
フランス 2020/10/28 15.9% 4.59
2021/01/24 7.1% 4.48
ドイツ 2021/01/03 15.4% 1.44
インドネシア 2021/01/16 32.2% 0.13
フィリピン 2020/08/06 14.9% 0.26
日本 2021/01/11 11.7% 0.44
マレーシア 2021/01/01 9.1% 0.65
韓国 2020/12/12 3.5% 0.41
タイ 2020/12/21 2.9% 0.11
台湾 2020/12/06 2.8% 0.01

日本、フィリピン、マレーシアの陽性率が欧米に比べてさほど小さくないことから、ファクターXには陽性率を下げる効果がなさそうである。
ファクターXの効果は、感染してから発症することの抑止、あるいは発症してから重症化することの抑止なのだろう。

注:

ファクターXを無視した報道姿勢の効果

マスコミにとっての効果

欧米の事例を日本に当てはめて考えさせる効果
欧米で感染増が大問題であるように、日本でもそうであるように錯覚させ、危機感や不安感を煽る。

厚生労働省にとっての効果

医療逼迫の本質的原因の隠蔽
日本より感染者が多い欧米が医療崩壊を回避している中で、医療資源に余裕があるはずの日本で医療逼迫するのはおかしいということに気付かれにくくする。

緊急事態宣言に効果があるように見せかけるトリック

緊急時代宣言を正当化する非科学的理論を権威づける

緊急事態宣言の発出や延長を正当化する説明は「風が吹けば桶屋がもうかる」式の非科学的理由付けであったり、後件肯定のような詭弁である。
「人出を減らすことにより実効再生産数を下げて流行を沈静化しよう」という論法
「人出の減少」→「人と人との接触削減」→ 「実効再生産数の減少」というロジックはまさに「風が吹けば桶屋が儲かる」式の論法である。
「緊急事態宣言により駅周辺の人流が減った。感染が減ったのはこの効果だ」という論法
たまたま感染が減った時期と人流が減った時期が重なっただけであり、まさに後件肯定の例である。
人流が減っていない駅周辺との比較がなされていないのは、過度の一般化の例である。
「飲食店の時短により実効再生産数を下げて流行を沈静化しよう」という論法
居酒屋や料亭のような酒席専門店や、レストランのように夜は酒席で使われる店での感染事例を一般化して、夜も食事がメインのファミレスやラーメン店、牛丼店にまで拡大するのは、過度の一般化の例である。
店を時短するのでなく、客の滞在時間を短縮するなど他の策を検討しないのは、人と人との接触削減にこだわる一種の宗教である。

2021年1月の緊急事態宣言に効果がないことを示唆するデータの報道をさける

緊急事態宣言に効果が無いことを示す下記の事実やデータの報道や広報にマスコミも政府も熱心でない。

ロックダウンなど行動規制策に効果がないことを示す海外事例を報道しない姿勢

欧米の多くの国がロックダウンや部分ロックダウンを繰り返すも、効果を得られないでいる。このことの報道にマスコミは積極的でなく、厚労省系の専門家が主導権を握っているらしい分科会も、行動制限策がどれほど有効だったかという目での検証はするものの、期待ほど有効でないかも知れないという目での検証をしていないように思える。

緊急事態宣言を無駄に延長するトリック

緊急事態宣言に効果があろうがなかろうが、感染の沈静化が見込まれていたので、延長すれば確実に政府や厚生労働省の施策は正しかったと言い張ることができるのである。
2021年2月に入ってすぐに緊急事態宣言の延長を決めるのでなく、甚大な被害のある緊急事態宣言を早期に停止してしばらく様子を見る方法について政府や専門家で議論することが本筋ではないのか。「解除に慎重になるべき」という政府や専門家の言葉は責任逃れに思える。政治家も官僚も、国民の命より政治家生命や官僚生命の方を大事にしているかのようである。

延長した緊急時代宣言の解除を遅らせた方がよいと国民に思わせるトリック

「緊急事態宣言に効果あった」を前提にするトリック

2021年2月下旬の陽性者数「下げ止まり」を利用するトリック
陽性者数の減少速度が減っているように見えることから、「気の緩み」だとか「ここで解除してリバウンドしたら元の木阿弥」とか危機感を煽る論調が知事の会見やマスコミ報道に散見される。
本来、減少速度を見るには対数目盛のグラフを使うべきところ、「下げ止まり」を言いたい人たちは実数目盛を使っている。

他の手段にを軽視するトリック

「医療逼迫の恐れがなくなるまで緊急事態宣言が必要」と説明するトリック
2021年2月1日に、実効再生産数が1を下ったが、病床の逼迫度合いなど総合的に評価すると宣言解除には厳しいので、2日に延長を正式決定する方針であることが田村厚生労働大臣など、政府により明らかにされたらしい。
(参考Webページ: "実効再生産数1下回るも「宣言」延長決定へ|日テレNEWS24" 2021年2月1日 付け)
さらに 2021年02⽉14⽇の NHK番組で西村大臣が病床逼迫の改善具合を見て緊急事態宣言の解除を判断すると説明したらしい。
(参考Webページ: "⻄村担当相「病床逼迫解消で宣⾔解除」 尾⾝⽒、感染減鈍化を警戒︓時事ドットコム" 2021年02⽉14⽇ 付け)
こうした説明では、医療逼迫回避の手段として緊急事態宣言が主であることを前提にしているように見える。しかし、本来は医療体制を改善する方策が主でなければならない。
「抑え込み」を目標として持ち出すトリック
2021年2月16日に東京都の知事や医師会が新規感染を限界まで抑える決意を表明した。緊急事態宣言の解除時期に言及していないが、解除されても都独自に緊急事態を続けるつもりかもしれない。
(参考Webページ: "都と医師会、東商がコロナで宣⾔ 感染「限界まで抑える」(共同通信) - Yahoo!ニュース" 2/16(⽕) 付け)
しかし、新型コロナのようなタイプの感染症に「抑え込み」はあり得ない。

専門家による試算を使うトリック

「早期解除すると急速に感染再拡大」することをグラフでアピールするトリック
次のようなことを示す専門家の試算をグラフを用いて報じたメディアがあった。
「早期解除すると急速に感染再拡大してしまい、遅く解除した場合と比べて、死者数が多くなり、再度の緊急事態宣言により経済損失も大きくなる」
しかし、この試算には次のような欠陥がある。
  • 緊急事態宣言に効果があったことを前提にしているため、出発点が間違っている可能性が大。
  • 損害の評価対象に「コロナ禍による自殺増」が含まれていない。
  • もしも、単純なSIRモデルを新型コロナのような複雑な感染症に応用していたとしたら、外れる可能性が大である。(Googleが新型コロナの予測に使ったような進化した手法であれば話は別だが)


付録: ダイヤモンド・プリンセス号(DP号)の感染者数を日本の数字に合算するトリック

横浜港でのDP号の検疫中のテレビ報道

当時は一人の感染者が出ただけで大騒ぎをしていた時期である。そのような時期にDP号での感染者数や死者数を、日本における感染者数や死者数として報道することは、外国人に乗っ取られてしまっている現在の日本のテレビ局にとって、次のような価値がある。

一年後のテレビ報道

2020年12月に、「DP号を含めて国内の死者が 3,000人を超えた」という風な意味合いの見出しの報道を私は見つけた。
外国人に乗っ取られてしまっているテレビ局らしく、できるだけ早く日本に3千人越えをさせたい意思を感じる。外国人に乗っ取られる前のこの局の愛視聴者であった私は、現在の様変わりしたこの局の早期の廃局を願ってやまない。


用語解説



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