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P(Pair = 高ペア) × P(低額側封筒を選ぶ) も
P(Pair = 低ペア) × P(高額側封筒を選ぶ) も
「低額側封筒を選ぶ」や「高額側封筒を選ぶ」といった仮説事象を条件とした X = x の条件付き確率、すなわち「尤度」であるので、二封筒問題の確率の錯覚は「尤度」に関係しています。
しかし、この尤度の式の中にP(Pair = 高ペア) や P(Pair = 低ペア) といった「基準率」 (Base Rate)が主要成分として 含まれていることが特徴です。
これとは対照的に、モンティ・ホール問題の場合には、「扉n が当たりのときにホストが扉m を開ける条件付き確率」 が尤度に相当していて、まったく基準率(「扉n や 扉m が当たりである確率)を含んでいません。 ← 2014/05/12 に文体を修正して読みやすくしました。
このことから、二封筒問題の錯覚現象はモンティ・ホール問題のような「尤度の無視」 による錯覚現象ではなく、どちらかと言えば「基準率の無視」による「基準率錯誤」 (Base Rate Fallacy)に近いと言えます。
基準率錯誤の代表はマンモグラフィーの錯覚現象ですが、こちらの場合、基準率、すなわち乳癌の罹患率が最初に提示され、その次に尤度、すなわち検査で陽性や陰性になったときの罹患率が示された上で、検査結果が陽性になったときに確率の錯覚現象が起きます。
それと二封筒問題を比較すると、二封筒問題の場合、基準率のパターン、すなわち金額の確率分布のパターンすら示されていません。
このことから 「二封筒問題の錯覚現象は基準率錯誤だ」 と言い切れない面もありますが、尤度の計算式の中に基準率が含まれていることから、モンティ・ホール問題の「尤度の無視」とは別種の錯覚現象です。
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2015/02/03 11:15:11
初版 2011/12/01
二封筒問題共通の錯覚現象とマンモグラフィの錯覚との類似点
ニ封筒問題の確率計算式をよく見ると「基準率」が重要な働きをしているので、二封筒問題の錯覚現象はモンティ・ホール問題の錯覚現象よりもマンモグラフィの錯覚現象の方に近いと言えます。二封筒問題の確率計算式
まず、二封筒問題の確率計算式を整理して見ます。
簡単のため、選んだ封筒の金額 x を含む二つの金額ペアだけを考えて、
低額側のペア( x/2, x) を 低ペア、高額側のペア(x, 2x) を 高ペア と書くことにする。
金額ペアに対応する確率変数をPair と書き、 選んだ封筒の金額 x に対応する確率変数を X と書くことにすると、 選んだ封筒の金額を証拠事象とした場合に、選らんだ封筒が低額側である条件付き確率は次の式で表される。
P(低額側封筒を選ぶ | X = x) = 分子/分母
分子 = P(Pair = 高ペア) × P(低額側封筒を選ぶ)
分母 = P(Pair = 低ペア) × P(高額側封筒を選ぶ)+
P(Pair = 高ペア) × P(低額側封筒を選ぶ)
金額ペアに対応する確率変数をPair と書き、 選んだ封筒の金額 x に対応する確率変数を X と書くことにすると、 選んだ封筒の金額を証拠事象とした場合に、選らんだ封筒が低額側である条件付き確率は次の式で表される。
しかし、この尤度の式の中に
これとは対照的に、モンティ・ホール問題の場合には、「扉n が当たりのときにホストが扉m を開ける条件付き確率」 が尤度に相当していて、まったく基準率(「扉n や 扉m が当たりである確率)を含んでいません。 ← 2014/05/12 に文体を修正して読みやすくしました。
このことから、二封筒問題の錯覚現象はモンティ・ホール問題のような「尤度の無視」 による錯覚現象ではなく、どちらかと言えば「基準率の無視」による「基準率錯誤」 (Base Rate Fallacy)に近いと言えます。
基準率錯誤の代表はマンモグラフィーの錯覚現象ですが、こちらの場合、基準率、すなわち乳癌の罹患率が最初に提示され、その次に尤度、すなわち検査で陽性や陰性になったときの罹患率が示された上で、検査結果が陽性になったときに確率の錯覚現象が起きます。
それと二封筒問題を比較すると、二封筒問題の場合、基準率のパターン、すなわち金額の確率分布のパターンすら示されていません。
このことから 「二封筒問題の錯覚現象は基準率錯誤だ」 と言い切れない面もありますが、尤度の計算式の中に基準率が含まれていることから、モンティ・ホール問題の「尤度の無視」とは別種の錯覚現象です。
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