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2019/09/22 1:23:19
初版 2019/1/3

英語版Wikipediaの謎

(2019/09/22 「新編集者」と「Cさん」という記法を「新編集者」に統一しました)

2014年に英語版Wikipedia の "Two envelopes problem" の記事の新編集者が、ある新論文(以下「新論文」と呼称)に書かれている説(以下「新論文の説」と呼称)を書き込んだことに端を発する編集戦争が記事の管理人的編集者の Iさんとの間で勃発しました。
Talkページでの議論のさなかの 2014年11月に新編集者が新論文の説を記事に書込んでから Iさんを含む誰も削除していないという状況がこの編集戦争の結末です。
Talkページに意見を寄せた編集者たちはこの新論文の説の書込みに対して賛同しないか拒否かのどちらかなので、現在 (2018/12/29) まで削除されていないことが不思議です。

参考
Iさんは 2005年にこの記事の初期のバージョンを創り、その後、不適切な内容が書き込まれないよう活動してきた管理人的編集者です。現在 (2018/12/29) の記事は当時より大きくなっていますが採用している問題文は Iさんが英語版Wikipedia の "Two envelope paradox" の記事の問題文をベースに用意したもので、記事全体の章立ても Iさんが創った初期バージョンがベースになっています。この点はこの編集戦争を理解する上で重要です。

英語版Wikipedia の "Two envelopes problem" の記事に書込まれた新論文の説

おおざっぱに言って、金額ペアの平均金額に対する交換損の倍率と交換得の倍率の差がゼロだから交換には意味がないという説です。
この説が数学的に誤りであることは即座にわかります。
交換損の倍率と交換得の倍率で分母となる金額が異なるので、数学的に無意味な計算だからです。

経緯

なぜ英語版Wikipedia の "Two envelopes problem" の記事に新論文の説が書き込まれたままなのか、経緯を調べてみました。

新編集者と記事の管理人的編集者の一人の Iさんとの間の編集戦争

2014年5月に "Two envlopes problem" の記事に新編集者が初めて新論文の説を書込み、同年9月に Iさんが元に戻したことに端を発して、新編集者が書込んだその日のうちに Iさんが戻すという終わりのない編集戦争が勃発しました。
どうなることかと見守っていたら、2014年の10月中旬に、Wikipedia管理者の一人が Iさんと新編集者の二人を48時間ブロックし、同時に記事をプロテクトして誰も編集できなくしました。休戦状態になって安心したことを覚えています。

編集戦争のさなかの Talkページでの議論

2014年10月の編集戦争のさなかに Iさんによる回復は許されるかを問う章を新編集者が Talkページに作ったところ、二人の編集者から新論文の説の引用の書込みは不適切だという意見がよせられましたが、書込みに同意する意見はよせられませんでした。
この議論の最中に新編集者が編集戦争を続けたのは Talkページの議論の主題が Iさんによる回復の可否の方だと新編集者が考えていたためでしょう。

Talkページのあらたな章での議論

2014年10月の下旬早々、新論文の説の引用の書込みに同意を求めるため、新編集者が Talkページに新たな章を作りました。
10月末になって色々な編集者から反対する意見が寄せられました。 このように新論文の説が notable かという点と関係して新論文の存在に議論が集まりました。
その結果、「新論文を掲載している論文誌の存在の証明が記事での引用を正当化する」と新編集者が勘違いしたらしいことが、この後の新編集者のアクションを見るとわかります。
これと並行して、新編集者が Wikipedia管理者になりすましの疑いで Iさんを訴え、あるWikipedia管理者によって Iさんがブロックされたものの、その翌日に別の Wikipedia管理者によって Iさんのブロックが解除されたりするようなことも起きました。
10月末日に近づいたころに 新編集者が「最初にすべきはこの論文が論文誌に掲載されていることを皆が納得できるようにすることだ」と述べたところ、編集者の一人から「論文が在るかどうかでなく、notable かどうかが問題だ」という意見が返りました。
同日、新編集者の意図が百科事典の目的に反するという理由で、ある編集者が新編集者を1週間ブロックしました。
同日、Gさんが「新編集者が示した論文誌のある号に新論文が掲載されていたようだ」と述べました。

記事の編集再開

2014年11月早々、記事をプロテクトした Wikipedia管理者の手でプロテクトが解除されて編集ができるようになりました。

Talkページの動き

11月中旬に Gさんが「論文の作者が投稿した翻訳が今 arXiv.org にあります」と伝えました。

Talkページの新しい章での議論

2014年11月の中頃、Talkページに 新たな章を 新編集者が作成し、"Two envelopes problem" の記事に新論文の説の引用を書込むことを通知しました。
そして、そのすぐ翌日、記事に 新編集者が新論文の説を書込みました。
その 4日後、Talkページで Iさんが「編集者の投票で全員が反対している」と述べたところ、新編集者が「 Iさんの主張は情報源が信頼できないか存在しないというものだったが、掲載している論文誌が存在するので情報源が信頼できることと、英訳が arXiv.org にアップロードされたことが Gさんにより示された」と述べました。
その翌日、Talkページで Gさんが「今の問題は参照が有用かどうかである。新編集者が導入したアイデアは記事の最初の解 (記事 の "Logical resolutions" の章の内容を指す) の単なる複製だ」と意見を述べたところ、 新編集者がギリシャ人の説を "Logical resolutions" の章に移動することを提案し、Gさんが了承しました。 (← 2019/1/20 修正)
同日さらに、Talkページで Gさんが「新論文の作者は何も新しいことをしていない。単に自分の好きな言葉や計算で既存の論文の resolution を表現しているだけだ」と述べたところ、翌日 新編集者が「新論文の新しい説はプレイヤーの自分の封筒の金額に基づいた期待利益を与える非常に単純な式だ」と反論してから、その説が logical で simple だから "Logical resolution" の章にふさわしいと主張しました。 (← 2019/1/20 加筆)
さらにその翌日 Gさんがギリシャ人の説を削除し、新編集者が "Logical resolution" の章に復活することで、ギリシャ人の説を引用する章が変わりました。 (← 2019/1/20 追加)
その後 Iさんを含めて誰も現在 (2019年1月) に至るまで新論文の説を削除していません。

NAC という WIkipedia の機能で編集者たちが意見を寄せた章を凍結

2014年12月にある編集者が Talkページで多くの編集者たちが意見をよせた章を永久凍結しました。下記はその凍結に添えられた言葉です。 (← 2019/09/22 加筆)

「新論文の説は not notable で記事で引用してはならないものである。論文が在るかどうかは考慮しなくてよい」

これにより、この一番重要な章が archive に移動されることなく、現在 (2019年1月) でも Talkページで読むことができます。
この編集者は多くの編集者が新論文の説の引用に反対した事を忘れないためにこうしたのだと思います。(Wikipedia の NAC という仕組みを使っています)

調査結果

新論文の説が英語版Wikipedia の "Two envelopes problem" の記事から削除されないのは何故なのか、次のような理由が考えられます。

残された謎

主要な編集者の Gさん、Hさんの二人が数学者であるにも関わらず新論文の説の単純な間違いに気づかなかったことが不思議です。
当初、新論文の説は既存の説の焼き直しだと述べていた Gさんが、途中から急に "Logical resolution" の章での引用に同意したことも不思議です。 (← 2019/1/20 追加)
Talkページの新論文の説に関する章で新論文の説そっちのけで Gさんと Iさんの恒例の論戦が行われていることから、「数学者の Gさんにとって新論文の説は、Iさんなど数学者でない編集者をやり込めるための道具で、そのため新論文の説に対して甘くなったのかもしれない」 という疑念も湧いてきます。 (← 2019/1/20 追加)

新論文の説は今でも not notable か

何らかの理由で新論文の説が参照されるようになれば notable な説に変わります。
Gogle Scholar で 2018年12月31日に調べたところ、新論文は他の論文から参照されていないので調査時点では not notable です。
しかし Talk:Two envelopes problem/Literature に載っている 2014年以降に公開された約10本の論文を Gogle Scholar で 2018年12月31日に調べたところ新論文以外の論文もほとんどが参照されていないので、新論文の説が今後 notable になる可能性がないとは未だ言えません。
(この調査では、本人による参照はカウントしていません)

調査の副産物

調査の過程で次のような興味深い発見がありました。 トップページに戻る