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2013/08/18 14:36:35

モンティ・ホール問題と自転車のパズルとの共通点

PARADE マガジン の日曜コラム "Ask Marilyn" は、モンティ・ホール問題以後も盛況で、2010年5月2日の "Ask Marilyn" に掲載された自転車のパズルでも論争が盛り上がったらしい。
その問題文の概要は次のとおり。
A,Bの二人が同じ出発地点から同じ目的地点に向けて同じ道を同時に出発する。
最初はAが歩き、Bが自転車 ( アメリカ英語で "bike" 、オートバイではない ) で出発する。
Bがある距離進んだところで自転車を残して歩き出す。
Aが自転車にたどり着いたら自転車に乗ってAを追い越し、ある距離進んだところで自転車を残して歩き出す。
全行程をこのようにして進む。

どの時点でも二人のどちらかは歩いているが、片方が自転車にのっているときもあるので、自転車が無いときより早く着くという意見がある。
どの時点でもどちらかが必ず歩いていたのだから、自転車があっても早くならないという意見もある。

どちらの意見が正しいのか?

この問題に対して、自転車を使えば平均速度が速くなるのだから早く着くと、Marilyn vos Savant が答えたところ、モンティ・ホール問題ほどではないが、かなり論争が盛り上がったらしい。

例えば、ある人は、二人が同時に自転車に乗っている時間はないから、早くならないと反論している。
別のある人は、最後に一方が他方の到着を待たねばならないから早くならないと反論している。

これらの反論に対して Marilyn vos Savant は全体の距離、自転車で1回に進む距離、歩く速度、自転車の速度を具体的に定めて具体的に計算して見せている。

反論した人たちには、問題が次のように見えているのだろう。

道のりのどの部分を見ても、必ずどちらか一人が歩いている

それをつないで考えると、道のり全体を通して一人で歩いたのと同じ

しかし、よく考えると、このように歩いた道のりを繋いで考える論法は、空間次元の中だけで議論していることがわかる。
問われているのは所要時間であるのだから、最終的には時間次元の中の話題に帰着しなければならないのに、どこまでも空間次元の上で考えているのである。
あるいは、「時間」を「時間次元」上の時間区間の「長さ」として捉えず、空間の方に付随した「数値」として捉えている。
これが、歩いた道のりを繋いで考える論法が錯覚を生み出す根本原因だろう。

ちなみに、下図のように、時間次元と空間次元を組み合わせて考えると間違いはなくなる。


このように「着目している空間が適切でないために錯覚を起こす」という現象が、モンティ・ホール問題にも成立していそうである。
モンティ・ホール問題の場合には確率が争点であるのだから、あくまでも「標本空間」の上で考えなければならないのに、扉に対する賞品の配置に目が行って、肝心の標本空間に目が行かないために錯覚が起きるのだと言えそうである。
あるいは、確率を「標本空間」の上の「事象」の「確からしさ」としてとらえずに、扉1といった「物体」の方に付随した「数値」としてとらえているとも言えそうである。
いずれにせよ、これらの構図は、上記の自転車のパズルとそっくりである。

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