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2013/08/18 14:36:40

マルチステージ問題

switch の機会が何回か与えられる場合には、最後の1回で switch する戦略がベスト

Rao, M. (1992). (M. Bhaskara Rao という人はたぶん大学の先生) が マルチステージ型のモンティ・ホール問題に関する考察を 発表していて、その内容を整理すると次のようになる。

Rao 先生が考えたゲームのルール

  • ドアが4つ(当たりが一つ、ハズレが三つ)ある。
  • 最初に挑戦者が選ぶ。ホストが残りの三つの中からハズレ扉を一つ開ける。
  • ホストが残りの中からハズレ扉を一つ開ける。
  • 挑戦者に扉を switch する機会があたえられる。
  • 挑戦者の決定後、ホストが残りの二つの中からハズレ扉を一つ開ける。
  • 挑戦者に扉を switch する機会があたえられる。

どのタイミングで Switch するかという戦略別の勝率

戦略 その戦略で
賞品を得る確率
Pick ---> Stick ---> Stick
0.250
Pick --> Switch -> Stick
0.375
Pick --> Stick --> Switch
0.750
Pick -> Switch -> Switch
0.625
注:
Pick  : 最初の扉の選択
Stick  : 扉を変えないこと
Switch  : 別の扉に変えること

上の表で特筆すべきは、 Pick Switch Switchの戦略がベストでないことである。扉が3枚のケースのアナロジーでは、switch しまくると有利に思えるが、実際は土壇場まで switch を温存した方がよいらしい。

Wikipedia(英語版)の"Monty Hall problem"の記事によると、Bapeswara Rao, V. V. and Rao, M. Bhaskara (1992).ではさらに扉の数を一般化して論じているらしい。

私も Pick Switch Switch の戦略の場合を計算して見ました

Pick Switch Switch の戦略の場合の標本空間は次のようになる。(左から右に向かって時系列に階層的分解)
この表を作る際、挑戦者のswitch 先の選択やホストが開ける扉の選択に偏りが無いと仮定しました。
当り扉 pick 最初の
開扉
最初の
switch
2回目の
開扉
2回目の
switch
この事象
の確率
勝つか 勝つ事象の
確率抜書き
1 1 2 3 4 1 1/24 勝つ 1/24
1 1 2 4 3 1 1/24 勝つ 1/24
1 1 3 2 4 1 1/24 勝つ 1/24
1 1 3 4 2 1 1/24 勝つ 1/24
1 1 4 2 3 1 1/24 勝つ 1/24
1 1 4 3 2 1 1/24 勝つ 1/24
2 1 3 2 1 4 1/32    
2 1 3 2 4 1 1/32    
2 1 3 4 1 2 1/16 勝つ 1/16
2 1 4 2 1 3 1/32    
2 1 4 2 3 1 1/32    
2 1 4 3 1 2 1/16 勝つ 1/16
3 1 2 3 1 4 1/32    
3 1 2 3 4 1 1/32    
3 1 2 4 1 3 1/16 勝つ 1/16
3 1 4 2 1 3 1/16 勝つ 1/16
3 1 4 3 1 2 1/32    
3 1 4 3 2 1 1/32    
4 1 2 3 1 4 1/16 勝つ 1/16
4 1 2 4 1 3 1/32    
4 1 2 4 3 1 1/32    
4 1 3 2 1 4 1/16 勝つ 1/16
4 1 3 4 1 3 1/32    
4 1 3 4 3 1 1/32    

この戦略で勝つ確率の合計 5/ 8 = 0.625 が Rao 先生が出した0.625 と一致してホッとしました。

ホストが若番の扉を開けるくせがある場合も計算して見ました

Pick Switch Switch の戦略の場合の標本空間は次のようになる。
当り扉 pick 最初の
開扉
最初の
switch
2回目の
開扉
2回目の
switch
この事象
の確率
勝つか 勝つ事象の
確率抜書き
1 1 2 3 4 1 1/8 勝つ 1/8
1 1 2 4 3 1 1/8 勝つ 1/8
2 1 3 2 1 4 1/8    
2 1 3 4 1 2 1/8 勝つ 1/8
3 1 2 3 1 4 1/8    
3 1 2 4 1 3 1/8 勝つ 1/8
4 1 2 3 1 4 1/8 勝つ 1/8
4 1 2 4 1 3 1/8    

確率の合計は相変わらず 0.625 でした。

ゲームの進行に合わせて事前確率を計算しなおす手法でも計算して見ました

第1ステージ前半
最初のpickの後
最初に
当りの確率
ホストが
開ける確率
pickした 1/4 0
残り① 1/4 1/3
残り② 1/4 1/3
残り③ 1/4 1/3

第1ステージ後半
最初の開扉の後
最初に
当りの確率
挑戦者が
switchする確率
pickした 1/4 0
ホストが開け残した① 3/8 1/2
ホストが開け残した② 3/8 1/2

第2ステージ前半
1回目のswitch の後
最初に当りの
確率
それが当りのときに
最初にpickした扉を
ホストが残す
確率
それが当りのときに
1回目のswitch先を
ホストが残す
確率
それが当りのときに
今まで手付かずの扉を
ホストが残す
確率
最初にpickした 2/8 1 1 0
1回目のswitch先 3/8 2/5 3/5
今まで手付かず 3/8 0

最初にpickした扉をホストが残す確率 = 2/8 + 3/8 × 2/5 = 16/40 = 2/5
今まで手付かずの扉をホストが残す確率 = 3/8 × 3/5 + 3/8 = 24/40 = 3/5

第2ステージ後半
2回目の開扉の後
(確率 2/5 で最初にpickした扉が残ったケース)
それぞれが
当りである
確からしさ
それぞれが当りである
確からしさの
総和
それぞれが
当りである
確率
最初にpickした 2/8 =
10/40
2/8 + 3/8 × 2/5 =
16/40
5/8
1回目のswitch先 6/40 3/8

第2ステージ後半
2回目の開扉の後
(確率 3/5 で今まで手付かずの扉が残ったケース)
それぞれが
当りである
確からしさ
それぞれが当りである
確からしさの
総和
それぞれが
当りである
確率
1回目のswitch先 9/40 9/40 + 3/8 =
14/40
9/24
今まで手付かず 15/40 15/24

第2ステージ後半
2回目の開扉の後
(上記のケースの統合)
それぞれが
当りである
確率
1回目のswitch先 3/8 × 2/5 + 9/24 × 3/5 =
45/120
もう一方の扉 1 - 45/120 =
75/120 =
0.625

同じ 0.625 という結果が出ましたが疲れました。

参考文献



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