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こんな目を引く見出しの新聞記事は、McDonnell, M.D. , Grant, A.J. , Land, I. , Vellambi, B.N. , Abbott, D. And Lever, K. (2011). に関するものでした。
この論文は Wikipedia() "Two envelopes problem" の記事(10:24, 5 October 2013の版) の "Randomized Solutions" でも紹介されています。
Thomas M. Cover 博士が提起した問題がこの論文のヒントになっているようです。
次のようにすると、もう一方の紙片の数値 B の方が大きいか否かを確率 1/2 より高い頻度で当てられる。
この結果を「秘書問題」など一般の問題に応用できるか?
注:「秘書問題」とは秘書を求人したときに応募してきた人を順々に面接して、面接の場で採用不採用を決めなければならない場合に、早めに決めたらもっと優秀な人が後に来て後悔するかも知れないし、ぐずぐずしていると優秀でない人しか残ってないかも知れないという悩みを解決する問題です。
この表から次のことがわかります。
しかし、TがAとBの間にめったに入らないような確率分布なら、さほど効果がないでしょう。
y は選んだ封筒の金額
Ps(y) はyの関数で、 交換を意味する1か、交換しないを意味する0 を値とする
負指数関数スィッチング negative exponential switching
Ps(y) = e-ay
しきい値スィッチング threshold switching
yがb以下のとき Ps(y) = 1
yがbより大のとき Ps(y) = 0
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2013/11/02 20:53:52
初版 2013/10/20
二封筒問題攻略法
Thomas M. Cover が書いた "Pick the largest number" のアイデアを二封筒問題に応用しようとする試みがあります。私に分かった範囲をご紹介します。私の目にとまった切っ掛け
Scientists crack 'two-envelope' problemこんな目を引く見出しの新聞記事は、McDonnell, M.D. , Grant, A.J. , Land, I. , Vellambi, B.N. , Abbott, D. And Lever, K. (2011). に関するものでした。
この論文は Wikipedia() "Two envelopes problem" の記事(10:24, 5 October 2013の版) の "Randomized Solutions" でも紹介されています。
Thomas M. Cover 博士が提起した問題がこの論文のヒントになっているようです。
Thomas M. Cover 博士が提起した問題
1987年にアメリカの "Comunication and Conputations" という雑誌に Cover 博士が提起した問題は次のようです。- プレイヤー1は2枚の紙片に異なる数値を書く。
- プレイヤー2はランダムに一枚の紙片を選び書かれている数値 A を読む。
- プレイヤー2はもう一方の紙片の数値 B について、選んだ方の数値より大きいか小さいかの判断をしなければならない。
次のようにすると、もう一方の紙片の数値 B の方が大きいか否かを確率 1/2 より高い頻度で当てられる。
- ∞ < t < ∞ である t の関数 f(t) で f(t) > 0 であるものを考える。 - ある定数 T について
A < T ならもう一つの紙片 B の数値の方が A より小さく、 A > T なら大きいと判断する。
この結果を「秘書問題」など一般の問題に応用できるか?
注:「秘書問題」とは秘書を求人したときに応募してきた人を順々に面接して、面接の場で採用不採用を決めなければならない場合に、早めに決めたらもっと優秀な人が後に来て後悔するかも知れないし、ぐずぐずしていると優秀でない人しか残ってないかも知れないという悩みを解決する問題です。
Cover 博士の解の説明
三つjの数値、A,B,Tの大小関係で次のように六つのケースに分けます。
|
TとA,Bとの関係 |
|
|
結果 |
---|---|---|---|---|
1 |
|
T,A,B |
|
|
2 | T,B,A |
|
正しい | |
3 | 中間 | A,T,B |
|
正しい |
4 | B,T,A |
|
正しい | |
5 |
|
A,B,T |
|
正しい |
6 | B,A,T |
|
|
この表から次のことがわかります。
- TがA,Bのどちらよりも小さいときには、確率 1/2 で正解するので、Tの値を使わずに勘で決めたときと互角です。
- TがAとBの間に入ったときは確率100% で正解します。
- TがA,Bのどちらよりも大きいときには、確率 1/2 で正解するので、Tの値を使わずに勘で決めたときと互角です。
しかし、TがAとBの間にめったに入らないような確率分布なら、さほど効果がないでしょう。
二封筒問題への応用
冒頭で上げたように新聞記事にもなり、Wikipedia(英語版)の "Two envelopes probrem" でも紹介されているMcDonnell, M.D. , Grant, A.J. , Land, I. , Vellambi, B.N. , Abbott, D. And Lever, K. (2011). はややこしい数式だらけなので飛ばし読みして目に入った内容をご紹介します。比較しているスィッチング戦略
y は選んだ封筒の金額
Ps(y) はyの関数で、 交換を意味する1か、交換しないを意味する0 を値とする
負指数関数スィッチング negative exponential switching
しきい値スィッチング threshold switching
論文の結論
結論の部分で次のようなことを書いているようです。(あまりよく理解できなかったので自信がありませんが)- 封筒の金額に応じた乱数スィッチングの有効性の理論的解析を行った。
- 負指数関数の系統の金額分布であれば、しきい値を最適化したしきい値スィッチングの方が負指数関数スィッチングより成績がよい。
- 金額の確率分布が不明な場合には負指数関数スィッチングの方が成績がよい。
私の感想
金額の少ない方では交換した方が有利だが、そのしきい値がはっきりしないという問題を Cover 博士の原理でカバーしようとした研究なのでしょう。(一部ダジャレです)参考文献
-
McDonnell, M.D. , Grant, A.J. , Land, I. , Vellambi, B.N. , Abbott, D. And Lever, K. (2011).
Gain from the two-envelope problem via information asymmetry: on the suboptimality of randomized switching
Proceedings of the Royal Society A.
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