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図で画くと次のようになる。
当りを選んだとき
はずれを選んだとき
合体方式のゲームにして見る
欠陥①
モンティ・ホール問題の標準とされている 世界的モンティ・ホール問題 では、ハズレの扉にヤギがいる。 ヤギ付きの自動車が当たっても挑戦者は困るだろう。
欠陥②
扉の間の対称性に着目して条件付確率の問題設定と非条件付確率の問題設定の関係の議論がモンティ・ホール問題の重要課題の一つであるが、 「扉合体説」 のようにゲームを変えてしまうと、 そういう議論ができない。
「扉合体説」 のゲームでは挑戦者が当たりを選んだときに残りのはずれ扉のどちらを開けるかというホストのくせに影響されないからである。
欠陥③
挑戦者が扉2 を選んだとき扉1 と扉3 を合体させる情景を思い浮かべるのは困難である。
回転式の舞台の上に扉を配置するのだろうか?
しかしこういう話よりも、 「扉合体説」 の心理学的特徴の方がより興味深い。
ホストが扉を合体させる 「扉合体型モンティ・ホール問題」 の標本空間と 「通常のモンティ・ホール問題」 の標本空間の対応付けをした上で、 一方で計算した確率をもう一方に当てはめているのであれば、 「扉合体説」 は巧い論法である。
しかし、インターネットで 「扉合体説」 による説明を読んでも、 そのような対応付けをきちんとしている説明は見当たらない。
そのように大ざっぱなところがあっても説明として人気があるのは、何か直観に訴える心理的な仕掛けが 「扉合体型モンティ・ホール問題」 にあるのだろう。
そのあたりを調べるために、 確率継承説 と比較してみた。
そして、 ホストが扉を開ける前後の確率を考える手がかりとして 何かの実体が扉の裏側に存在する状況をイメージすることにより、 素朴な確率論の 「事後確率」 (数学の確率論の 「事後確率」 と似ているが別物) を求めているのだろう。
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2013/08/18 14:36:36
扉合体説と確率継承説の比較
ちまたで見かける扉合体説
モンティ・ホール問題の 「扉合体説」 による説明とは次のようなものである。
ホストがはずれの扉を一つ開けて、開いていない扉を一つ残すということは
挑戦者が選ばなかった扉を合体させて一つにすることと等価である。
合体させて一つになった扉は扉二つ分の当たりやすさを持っているから、
合体して一つになった扉に switch して当たる確率は 2/3 だ。
挑戦者が選ばなかった扉を合体させて一つにすることと等価である。
合体させて一つになった扉は扉二つ分の当たりやすさを持っているから、
合体して一つになった扉に switch して当たる確率は 2/3 だ。
図で画くと次のようになる。
当りを選んだとき
はずれを選んだとき
合体方式のゲームにして見る
扉合体説は数学的に誤りだとは言えないが ・ ・ ・
うっかりホストが開けた扉を特定するような議論に誤って迷いこまなければ扉合体説自体におかしなところはないが、 モンティ・ホール問題の説明として次のような欠陥がある。欠陥①
モンティ・ホール問題の標準とされている 世界的モンティ・ホール問題 では、ハズレの扉にヤギがいる。 ヤギ付きの自動車が当たっても挑戦者は困るだろう。
欠陥②
扉の間の対称性に着目して条件付確率の問題設定と非条件付確率の問題設定の関係の議論がモンティ・ホール問題の重要課題の一つであるが、 「扉合体説」 のようにゲームを変えてしまうと、 そういう議論ができない。
「扉合体説」 のゲームでは挑戦者が当たりを選んだときに残りのはずれ扉のどちらを開けるかというホストのくせに影響されないからである。
欠陥③
挑戦者が扉2 を選んだとき扉1 と扉3 を合体させる情景を思い浮かべるのは困難である。
回転式の舞台の上に扉を配置するのだろうか?
しかしこういう話よりも、 「扉合体説」 の心理学的特徴の方がより興味深い。
「扉合体説」 の心理学
2013/06/28 にこの箇所を修正しました。ホストが扉を合体させる 「扉合体型モンティ・ホール問題」 の標本空間と 「通常のモンティ・ホール問題」 の標本空間の対応付けをした上で、 一方で計算した確率をもう一方に当てはめているのであれば、 「扉合体説」 は巧い論法である。
しかし、インターネットで 「扉合体説」 による説明を読んでも、 そのような対応付けをきちんとしている説明は見当たらない。
そのように大ざっぱなところがあっても説明として人気があるのは、何か直観に訴える心理的な仕掛けが 「扉合体型モンティ・ホール問題」 にあるのだろう。
そのあたりを調べるために、 確率継承説 と比較してみた。
確率継承説と扉合体説の間の心理学的類似点
「確率継承説」 と 「扉合体説」 を比べ見ると、似た点が見えてくる。- どちらもホストが扉を開けたり合体させたりした後の確率、 すなわち素朴な確率論の 「事後確率」 を求めようとしている。
- どちらも標本空間という抽象的な空間の上で確率を考えていない。
(どちらも場合分けの表を見ながら確率を考えていない) - 扉の配列という具体的な空間の上で確率を考えようと苦労している
- 何かの実体 (実体としての確率や、実体としての賞品) が扉の裏にあるというイメージを持っている。
「確率継承説」 で説明する人の頭の中では確率がエネルギーか何かのような 実体としてイメージされているらしい。
「扉合体説」 で説明する人の頭の中では扉の中の賞品が実体の役をしているらしい。
そして、 ホストが扉を開ける前後の確率を考える手がかりとして 何かの実体が扉の裏側に存在する状況をイメージすることにより、 素朴な確率論の 「事後確率」 (数学の確率論の 「事後確率」 と似ているが別物) を求めているのだろう。
用語解説
-
条件付確率の問題設定
ホストが「これこれ」のハズレ扉を開けたということを証拠事象として、
「それぞれ」の扉が当たりである条件付き確率を計算する問題設定である。
-
非条件付確率の問題設定
ホストが「いずれか」のハズレ扉を開けることは最初から分っていることとして
(相場用語なら「織り込み済み」だとして)
「挑戦者が選んだ」扉、あるいは「残りの」扉が当たりである確率を計算する問題設定である。
-
確率継承説
ホストが開ける扉の範囲が挑戦者が選ばなかった扉の範囲に限定されているので、
挑戦者が選ばなかった扉のどちらかが当たりである確率がホストが開け残した扉に継承されるという説明の仕方である。
ホストが開けた扉や開け残した扉を特定した説明をしていながら、きちんとした条件付き確率の計算になっていないことが多い。
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