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2017/08/09 15:41:45
初版 2017/06/06

ある有名論文

英語版の Wikipedia の "Two envelopes problem" という記事に初めて参考文献が掲載されたのはの 21:47, 3 October 2005 の版です。
その参考文献の中にある論文を見つけました。その論文は次のような特徴を持っています。 このようなことから、この論文が英語版 Wikipedia の記事の編集者に強い影響力を持っていたのではないかと思い、内容を整理してみました。

英語版 Wikipedia に影響を与えたと私が想像している論文の内容

冒頭で「封筒を開ける前に交換型」の二封筒問題のパラドックスを次のように表している。
次のような問題文を提示しています。
  • 開ける前に交換型である。
  • 「選んだ封筒の金額 x」 → 「確率半々で選んだ封筒が高額側か小額側」 → 「選んだ封筒が小額側か高額側かにより他方が 2x または x/2」 → 「交換後の金額の期待値」の順に話を進めている。
  • パラドックスの説明として、「交換が有利だという結論は直観に反する」 ことを採用している。
    「永久に交換しつづける羽目になる」 とか、「どちらの封筒でも交換が有利なのはおかしい」 といったパラドックスは採用していない。
これらの特徴は英語版 Wikipedia の記事の 22:13, 3 October 2005 の版とそっくりです。


この論文が引用している他の論文に対する反論
この論文が引用している Jackson, F., Menzies, P., & Oppy, G. (1994). Nalebuff, Barry.(1989). などが 「確率の間違いがパラドックスの原因だとしているのは次の理由から不適切だ」 と、この論文の執筆者たちが主張しているように、私には読めました。
  • 貨幣でなく数字を書いた紙が封筒に入れるタイプのゲームを考えると金額の上限はなくなるので、これらの論文が採用している金額の最大値のロジックは不適説である。
  • 確率分布が正規化できるかどうかを議論するのは、数学が得意でない普通の人が起こす錯誤の議論に相応しくない。

私の注1:
Jackson, F., Menzies, P., & Oppy, G. (1994). などが金額の上限による考察で、確率が 1/2に限定されるという考えを 「論理的」 に否定したのですから、数学が苦手なため理解できなくても、その結論に従わなければなりません。

私の注2:
Nalebuff, Barry.(1989). などこの論文が反論している論文のいくつかは期待値の正しい計算式も書いていますが、この論文ではそれに触れていません。

私の注3:
この論文に限らず、数学者や数学の得意な哲学者たちによる数学的な説に反論する人たちは、数学的な説の中で書かれた事実を 「確率が常に 1/2 である」 という仮説の 「反例」 でなく 「一般論」 だと読み替えて議論しているように見えます。 それらの事実が 「反例」 であることに気づいていないのか、気づかないふりをしているのかは、私には分かりません。 (← 2017/06/8 加筆)


自説の開陳
二組の金額ペア妄想説を次のような形式で表現しています。
期待値計算式の中で固定された金額として考えるべきものを見誤ったことがパラドックスの原因である。
誤った式の中では選んだ封筒の金額を固定して考えているが、二つの封筒の金額の合計を固定して考えるのが正解である。
選んだ封筒の金額を固定して考えてよいのは、選んだ封筒の金額が決まってから他方の金額の封筒に入れる金額が決まるようなゲームの場合である。
標準的な二つの封筒問題では、封筒を選ぶ前に二つの封筒の金額が両方とも決まっている。

私の注:
二つの封筒の金額の合計を固定して期待値を計算する問題は、いわゆる 「二つの封筒問題」 とは別の問題ですから、 そのような問題にパラドックスを感じることのできる珍しい人のためにパラドックスを解決したとしても、 いわゆる 「二つの封筒のパラドックス」 の解決にはなりません。


変数誤用説に似た説
次のような説を書いています。
「選んだ封筒が小額側か高額側かにより他方が 2x または x/2」 という文を見た場合、両者を通して x が選んだ封筒の金額を表していると解釈することはできない。
選んだ封筒が小額側なら x は選んだ封筒が高額側だったときの金額を表せないし、逆も真なり。

私の注:
上記の説は変数誤用説に似ていても別物です。
変数誤用説なら期待値計算式の項によって x の値が異なることが誤りの内容だと考えますが、 この論文では、封筒の金額の和を固定したならば、x が単一の値を表していると解釈することはできないと述べているからです。

私の仮説:
英語版 Wikipedia の記事 "Two envelopes problem" の編集者がこの説を勘違いして、「変数誤用説」 として Wikipedia に書いた。
  ↓
それを読んだ心理学者が英語版 Wikipedia の記事と別の論文 (ある論文) を合わせて自分の論文で紹介した。
  ↓
英語版 Wikipedia の記事とその心理学者の論文を読んだ私が変数誤用説のような心理現象を起こす人が実在したかも知れないと勘違いした。
  ↓
私は 「二封筒問題のおまじないの王様 – 変数誤用説 –」 を研究する羽目になった。
  ↓
最近 (2016年ごろ) ようやく私はを変数誤用説は幻だったと悟った。


二分の三説
( 2017/08/09 追加)
二分の三説に似た説が書かれています。
二つの封筒の金額の合計を 3x で表すと、選んだ封筒が小額側なら交換すると x だけ失い、選んだ封筒が高額側なら交換すると x だけ得るので、この正しい計算方法は、失う可能性のある( stand to) 金額と得る可能性のある金額が等しいという望ましい結果を導く。

私の注1 :
"stand to" は 「~しそうだ」 という意味があるらしいので、この部分は暗黙で確率を考慮していると解釈した場合、交換による損得の期待値を計算していると言えなくもないでしょう。

私の注2 :
この論文の著者にとっては、正しい期待値計算式よりも、二つの封筒が同等であることの確認の方が重要なのだろうと思います。
このことは二分の三説を唱える人の心理を研究するときにも考慮すべき重要ポイントだと思います。


結論
( 2017/08/09 追加)
結論として次のように書いています。
選んだ封筒の金額を固定して考える方が適当である場合、0.5 × 2x + 0.5 × (x/2) という計算式は正当 (legitimate) である。
二つの封筒の金額の和を固定して考える方が適当な場合には正当でない(illegitimate)。
このことを区別すればパラドックスはなくなる。

私が期待していた二分の三説そのものはどこにも出てきませんでした。
言い換えると、この論文の中に "(1/2)a + (1/2)2a" という期待値計算式が出て来ませんでした。


ここで内容整理はおしまい

この後にはいくつかの想定問答が書いてあるだけなので、ここで内容整理を終えます。

参考文献


用語解説



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