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2017/10/04 11:17:04
初版 2011/10/19

二つの封筒問題の錯覚に気づかない人のために



2014/01/02 に 「二封筒問題の説明を頭でも理解できない人がいる」 というページの内容をこのページに引っ越しさせました。
2014/01/21 に 「二つの封筒問題のもう一つの錯覚は手強い」 というページを廃止し、その内容を このページに加えました。
2014/04/19 に 「単一金額ペアへの固執」 現象に関する項を設けました。
2015/03/29 に 「二組の金額ペアを考えることがパラドックスの原因だと勘違い」 現象に関する項を設けました。
2015/04/11 に 「スマリヤンの錯覚」原因説 と 「二組の金額ペアを考えることがパラドックスの原因だと勘違い」原因説 を合体させました。 また、「単一金額ペアへの固執」 の意味を 「単一の金額ペアしか想像できない」 という意味に限定しました。


確率の錯覚に気づいたところから「パラドックス」が始まるモンティ・ホール問題と異なり、二封筒問題の「パラドックス」は確率の錯覚に気づかずに期待値を計算することから始まっています。そして錯覚に気づかないまま、あらぬ方向に議論がそれて行きます。
このページではそういう人たちを迷いから覚ますことを試みました。

しかし、「確率の錯覚」 とは別の 「スマリヤンの錯覚」 や 「期待値の錯覚」 が議論の方向を定めているらしいことにも気づきました。
そういう人たちを迷いから覚ますことは難しそうです。  ← 2014/04/29 にこういう表現に改めました。

2014/04/16 になって私は、単一の金額ペアしか頭に思い浮かばないため確率を錯覚したくてもできない人たちがいるらしいと思うようになりました。(単一金額ペアへの固執)
もしもそういう人たちが実際に居るなら放って置くしかありません。

2014/11/06 になって私は、 「変数の誤用現象」 を自分の頭の中で実際に体験した人たちがいるかも知れないと考えるようになりました。 
もしもそういう人たちが実際にいるなら、彼らの考えるパラドックスが本来の 「二つの封筒問題」 からかけ離れていることを理解してもらうことは難しそうです。

2015年8月までに私は、 「変数の誤用説」 と 「二組の金額ペア妄想説」 がどちらも 「E = (1/2)(x/2) + (1/2)2xE = (1/2)2a + (1/2)a の書き間違いだ」 という勘違いに端を発しているらしいと気づきました。
こういう人たちにはまず 「スマリヤンの錯覚」 から目覚めてもらう必要があります。

目次

確率を錯覚する人たちの場合

二つの封筒問題の確率錯覚現象

「確率の錯覚」 は 「封筒を開ける前に交換型」 と 「封筒を開けてから交換型」 に共通の錯覚現象

確率の錯覚 に罹った人は、「封筒を開ける前に交換型」の二封筒問題であれ、「封筒を開けてから交換型」の二封筒問題であれ、最初に選んだ封筒の金額 x に対して選ばなかった方の封筒の金額の期待値を次のような式で計算してしまいます。

E(Y) = (1/2) (x/2) + (1/2) 2x

Y は選ばなかった方の封筒の金額の確率変数、 E(Y) はその期待値です。
1/2 という係数は、封筒を交換したときに倍になるケースと半分になるケースの確率です。

この式の二つの項のどちらも 1/2 という係数を持っていますが、これこそが二封筒問題の根本的な錯覚に他なりません。

これが錯覚に基づくものであることは、 別ページ 「二封筒問題共通の錯覚現象とモンティ・ホール問題の錯覚との類似点」 や、 「二封筒問題共通の錯覚現象とマンモグラフィの錯覚との類似点」 で 詳しく説明しています。
別ページ 「多くの人がわかる · · · かもしれない二つの封筒問題」 では もっと手短に説明しています。 (← 2014/08/23 に加筆)

次のような解説図も理解の助けになるかも知れません。



2017年に入って次のような解説図も作りました。
確率分布の例を頻度で表した図です。



この図から次のようなことが簡単にわかると思いますが、どうでしょうか? (↑ 2017年10月4日、加筆)

二封筒問題もそれなりに有名な確率パズルなので、多くの人がこの錯覚に気づいているだろうと予想していましたが、次のような事実から、錯覚に気づかなないまま的外れな議論をしている人が多いことに気づきました。 このようにパラドックスの根本原因が分らないまま議論を続けようとすると、金額が実数だったらどうかとか、金額の上限がなかったらどうかとか、数学的議論や意思決定論的議論や経済心理学的議論の方に関心が移ってしまい、さらに議論を続けることになってしまいます。 いくら議論を深めても根本の錯覚に気づかなければパラドックスの解決はできません。

確率の錯覚から目覚めてもらうための説明集

単純な金額分布を考えると一発で錯覚に気づく

二封筒問題の最も単純なケースは、封筒にお金を入れる人が千円札 1枚と二千円札 1枚の計 2枚しか持っていないケースです。
このケースの場合、封筒の中の金額 x に対して、もう一方の封筒の金額がx の倍である確率も、x の半分である確率も、1 か 0 のどちらかしかありません。 どちらも 1/2 だと考えることが錯覚であることに、大概の人が気が付くでしょう。

しかし、 ネット上での議論や解説を読むと、このように最も単純なケースを考える人が少ないことや、 交換して倍や半分になる確率が 1/2 でないことの方が特殊だと思っている人がいることに気付きます。
そういう人のために別の説明を用意しました。

金額の平均値が有限の場合、交換後の条件付き期待金額が交換前の金額より常に大きいことはあり得ない

金額の平均値が有限の場合、選んだ封筒の中の金額 x に対する交換後の条件付き期待金額が交換前の金額より常に大きいことはあり得ないことを証明することができます。 ここでは金額の分布が離散的な場合を考えます。 一言で言えば、

封筒を開ける前には封筒を交換してもしなくても同等なのだから、金額の平均値が有限の場合、封筒を開けた後のある金額で交換する方が有利なら必ず別のどれかの金額で交換する方が不利になって帳尻が合うようになっている

ということを数式で表したに過ぎません。
金額の分布が連続的な場合については、Broome,John.(1995). などの論文を参照してください。

この結果を使うと、金額の平均値が有限の場合、選んだ封筒の中の金額 x に対するもう一方の封筒の金額が倍である確率と半分になる確率が両方とも 1/2 であるようなことが x の値すべてに対して起きる、というようなことはないことを証明できます。

交換して半減や倍増する確率が常に 1/2 だとすると数学の確率論に反する事態になる

この項を 2014/09/27 に書き足しました。

交換して半減や倍増する確率が常に 1/2 だとすると確率論に矛盾する事態になることは、次のような思考実験でわかります。
選んだ封筒の金額がたとえば 1 円だったとします。
もう一方の封筒の金額が 1/2 円 である確率1 である確率1 がともに 1/2 であるためには、 2組の金額ペア、(1/2 円, 1 円) 、(1 円, 2 円) の確率2 が等しくなければなりません。
ここで、選んだ封筒の金額が 1/2 円 だったり、 2 円 だったりしたことを考えると、 同じ論法で、
((1/2-2) 円, 1/2 円) と (1/2 円, 1 円) の確率2 が等しく、  (1 円, 2 円) と (2 円, 22 円) の確率2 も等しいことがわかります。
これを繰り返すと、(2m 円, 2m+1 円) の形の金額ペアの確率2 がすべて等しいことになり、  それらの和が無限大になってしまい、確率の数学的定義に反する事態になります。

注: 確率1 は選んだ封筒の金額を条件とする条件付き確率で、確率2 は条件を付けない確率です。

ここまで理解すれば、大概の人が封筒の中の金額によらず交換して倍になる確率や半分になる確率が 1/2 だと思ってしまうことが錯覚によることに気づくでしょう。
しかし、 次の項で示すように、条件付き確率の考え方を丁寧に説明してもがんとして受け入れない人がいます。

目次に戻る

期待値計算式の中の確率 1/2 を疑わない人たちの存在

条件付き確率の考え方を受け入れられない人の事例

選んだ封筒の金額を特定した場合、封筒を交換して倍になる確率と半減する確率が等しいとは限らないことを数学的に説明されてもがんとして受け入れない人がいます。
多くの人の考えを読んでもなお、封筒を開けても開けなくても封筒を交換して有利にならないという信念から離れられない人もいます。
数学的に説明されれば、心で理解できなくとも頭では理解できるモンティ・ホール問題との大きな違いです。

条件付き確率の考え方を受け入れられない理由

2014/04/29 にこの項を書き換えました。
2015/04/11 に 「スマリヤンの錯覚」原因説 と 「二組の金額ペアを考えることがパラドックスの原因だと勘違い」原因説 を合体させました。
2015/08/29 に 「二封筒問題のおまじないの王様」 を唱える心理と 「スマリヤンの錯覚のために二組の金額ペアを考えることがパラドックスの原因だと勘違い」 する心理が同一の原因に基づくという説を加えました。そしてこれに合わせて全体の構成も見直しました。

上記の事例のように、条件付き確率の考え方を説明されても受け入れない心理現象は、 「確率の錯覚」 とは別の錯覚現象で説明できるかも知れません。 目次に戻る

E = (1/2)(x/2) + (1/2)2xE = (1/2)2a + (1/2)a の書き間違いだと勘違いした人の場合

この人たちは E = (1/2)2a + (1/2)a がパラドックスを引き起こさないことと、 E = (1/2)(x/2) + (1/2)2x によく似ていることからこのような勘違いをしたのでしょう。 

この人たちは E = (1/2)(x/2) + (1/2)2x という式の意味をよく理解しなかったのかも知れません。 あるいは一度はこの式を理解したことを忘れようとしているのかも知れません。 いずれにせよ他の意見に貸す耳を持っていなそうです。
(↑ 2015/08/29 に訂正)

この人たちが唱える 「おまじない」 の代表は次の二つです。 ← 2015/04/11 に加筆 このように自分たちの考えを正当化するおまじないをひねり出す苦労までしている人たちを迷いから覚ますことは難しそうです。

以下の目覚まし法は、かなり前に考えた方法なので現在 (2015/04/11) の私はあまり効果を期待していません。

二つの封筒問題のスマリヤンの錯覚現象

「スマリヤンの錯覚」 という私の造語は次のように思い込んでしまう錯覚現象を言います。

封筒を交換したらどうなるかを考えるときに、選んだ封筒の金額を条件として考えるやり方と、二つの封筒の金額の組み合わせを条件として考えるやり方が、同じ問題を考えている。

この二つの考え方は数学的にまったく別の問題を考えているので、一方の考え方でパラドックスを解消しても、もう一方の考え方で生じるパラドックスの解消にはなりません。
しかし、 二つの封筒の金額の組み合わせを条件として考えることにより二つの封筒問題のパラドックスを解消したつもりになっている人が少なからずいます。 そうした人たちの錯覚を私は 「スマリヤンの錯覚」 と呼んでいます。  ( ← 2014/11/03 に加筆)

スマリヤンの二つの文のパラドックスとスマリヤンの錯覚

スマリヤンの二つの文のパラドックス とは、封筒を交換したらどうなるかについて、選んだ封筒の金額を条件として考えた文と、二つの封筒の金額の組み合わせを条件として考えた文の両方とも正しいが、矛盾するというパラドックスです。
スマリヤンの錯覚にひっかっかるように巧く仕組まれたパラドックスなので、私もこのパラドックスにひっかかりました。

スマリヤンの錯覚と 「二組の金額ペア妄想説」 や 「変数の誤用説」 との関係

2014/11/03 にこの項を大幅に書き直しました。 2015/8/30には 「二組の金額ペア妄想説」 との関係を書き足しました。

二つの封筒問題から人々が感じるパラドックスは多岐にわたっていますが、それぞれのパラドックスを解消するために唱える非数学的な説明を「おまじない」と私は呼んでいます。
二組の金額ペア妄想説」 や 「変数の誤用説」 もそうしたおまじないの仲間で次のような特徴を持っています。 どちらの説も心理学的には眉唾ですが、 「変数の誤用説」 の方は論理的あるいは数学的に間違っていないので 「おまじない」 というよりは 「デマ」 と呼ぶべきものかも知れません。

それはともかくとして、 最初に選んだ封筒の金額を特定しないで考えていながら二つの封筒問題について考えているつもりになっているという点で、 スマリヤンの錯覚と関係がありそうです。
次に述べるような方法でスマリヤンの錯覚から目覚めると同時に 「二組の金額ペア妄想説」 や 「変数の誤用説」 を唱えなくなるのであれば密接な関係があることになります。

スマリヤンの錯覚から目覚めてもらう方法

具体例による方法

二つの考え方がまったく別の問題を考えていることを具体例で説明するのが手っ取り早いでしょう。

千円札1枚の封筒と千円札2枚の封筒の組み合わせと、  千円札2枚の封筒と千円札4枚の封筒の組み合わせがあるときに、 封筒を一つ選んだときのことを考える。 ← 2015/01/11 に訂正

選んだ封筒の金額を特定した場合
選んだ封筒が 2千円だったとする。
封筒を交換して半減したら千円の損で得したら 2千円の得で得の方が大きい。

二つの封筒の金額の組み合わせを特定した場合
選んだ封筒の一方は千円で他方が 2千円だったとする。
選んだ封筒が 2千円だったら交換して千円損し、選んだ封筒が千円だったら交換して千円得するので損と得は等しい。

数式による方法

2014/11/03 にこの項を加えました。

二つの考え方を数式で表すと、数学的にまったく別個の問題であることがはっきりします。

記号の説明
選んだ封筒と他方の封筒の金額を表す確率変数をそれぞれ X、Y とし、
金額ペアを表す確率変数を P とします。
金額ペアに含まれる少額の方の金額で金額ペアを特定することができます。

  選んだ封筒の金額を特定 二つの封筒の
金額の組み合わせを特定
期待値の
条件
選んだ封筒の金額 金額ペア
考慮する
金額ペア
選んだ封筒の金額 x
を含む
(x/2, x) と (x, 2x) の
二組の金額ペア
期待値の条件とする
金額ペアのみ
開ける前に
交換型
での
比較対象
 確率変数 E(Y|X) と 確率変数 X   確率変数 E(X|P) と 確率変数 E(Y|P) 
開けた後に
交換型
での
比較対象
 条件付期待値 E(Y|X=x) と 値 x 

すべての x を考えると

 確率変数 E(Y|X) と 確率変数 X 
対応不可能
パラドックス E(Y|X=x)
= (1/2)2x + (1/2)(x/2) > x.

∴ E(Y|X) > X.
∴ E(Y) > E(X)
(2015/8/30 に加筆)
二組の金額ペア妄想説
パラドックスは起き得ない
 
変数の誤用説」
金額ペアを P=(a, 2a) とし、
他方の金額を Y とすると
E(Y|P)
= (1/2)(X=a のときの 2Xの値)
+ (1/2)(X=2a のときの X/2の値).
∴ E(Y|P)
= (1/2)E(2X|P) + (1/2)E(X/2|P)
> E(X|P).
(2015/8/30 に加筆)
保持する
条件
期待値計算式に
x/2 の項と 2x の項を
持つこと
期待値計算式の
各項の確率係数が
1/2
であること


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単一金額ペアに固執する人の場合

2015/04/11 に全体的に手を入れました。

単一金額ペアへの固執」現象を起こした人の例

二組の金額ペア妄想説>」 や 「変数の誤用説」 を唱えるところまで進んだ人は例外なく単一金額ペアに固執していますが、これらの人たちの大部分は 「見せかけの単一金額ペアへの固執」 を起こしているのかも知れません。 
しかし、見せかけでない正真正銘の「単一金額ペアへの固執」 現象を起こした人もいるかも知れません。
(↑ 2015/08/29 に修正)

見せかけでない正真正銘の 「単一金額ペアへの固執」 現象を起こした人の頭の中

↑ 2015/03/29 に一部の項目を削除

見せかけでない正真正銘の 「単一金額ペアへの固執」 現象を起こした人に確率の錯覚に気付いてもらうことは不可能か

彼ら自身が確率を錯覚していないのだから不可能です。
「単一の金額ペアで考えるべきで二組の金額ペアで考えるのは間違い」 という説は 「二組の金額ペア」 を考えることができないほど頭の固い人たちの間だけで通用することを理解してもらいたいところですが · · · 難しそうです。 数学が不得手なことに加えて、 自分たちがパラドックスを解決したと思い込んでいるからです。 (← 2014/11/12 に書き直し)

見せかけでない正真正銘の 「単一金額ペアへの固執」 現象を起こした人に、せめて確率の錯覚現象が 「あるかも」 と思ってもらいたい

この項を 2014/11/12 に書き足しました。

次のような説明をしたらどうでしょうか?

封筒に200円 と 400円 の組合わせが入る可能性があって、 400円 と 800円 の組み合わせが入る可能性もあるとしましょう。
そして貴方が最初に手にした封筒に 400円 入っているとしましょう。
そうすると、もう一方の封筒に入っている金額は 200円 か、800円 かのどちらかです。
もう一方の封筒の金額の期待値 E を計算して封筒を交換した方がよいかどうか決めましょう。
E = ½ × 200円 + ½ × 800円 = 500円 となります。
このようにもう一方の金額の期待値が手持ちの金額の 400円 を上回っているので、交換した方がよいことになります。

こんどは、封筒に入る金額がゼロより大きな有理数だとしましょう。
そうすると貴方が最初に手にした封筒に 401円 入っていたらもう一方の封筒の金額の期待値は
E = ½ × 200.5円 + ½ × 802円 = 501.25円 となります。
このようにもう一方の金額の期待値が手持ちの金額の 401円 を上回っているので、交換した方がよいことになります。

同じ要領で、貴方が最初に手にした封筒に色々な金額が入っていると考えてみましょう。
そうすると、その金額によらず、交換した方がよいことになります。
しかし!、 最初に手にした封筒は、二つの封筒からランダムに選んだ封筒であって、最初に手にした方が少額になる傾向はないはずです。 不思議だ!

これこそが、数学者たちが考えだした本来の 「二つの封筒問題」 の本来のパラドックスなのです。
ここではきちんと 401円 と 200.5円 と 802円 の三つの金額が考えられています。
「封筒は二つしかないから、200.5円 と 401円 の組み合わせと、401円 と 802円 の二組の組み合わせを考えるのは間違っている」 というような考え方は、数学者たちが考え出した本来の 「二つの封筒問題」 とはまったく別の問題だったのです。

数学者たちが考え出したパラドックスを解く鍵は、無意識に決めてしまった確率 ½ を疑うと見つかります。

見せかけでない正真正銘の 「単一金額ペアへの固執」 現象を起こす人は実在するか?

この項を 2015/05/10 に追加

見せかけでない正真正銘の 「単一金額ペアへの固執」現象を起こす人がいるかいないかは、心理学者が実験しないとわからないでしょう。

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変数の誤用を自分自身が体験したために 「別種のパラドックス」 を見出した人の場合

2014/11/06 にこの項を追加しました。 2015/8/31 には表題を書き直しました。

数学が不得手な人が 「二つの封筒問題」 の期待値計算式を理解しようとしたときに 「変数の誤用」 を体験してしまったと考えると、 彼らが示す次のような特徴がよく説明できます。 彼ら自身が 「変数の誤用」 を体験しているのだから彼らの説は 「正しい」 と言わざると得ませんが、 その 「正しさ」 は 「単一の金額ペア」 の上での 「別種の二つの封筒問題」 に関する 「別種のパラドックス」 の世界だけで通用する 「正しさ」 です。 
変数の誤用説」 は 「変数の誤用」 を起こすほど数式の理解が不得手な人たちの間だけで通用することを理解してもらいたいところですが · · · 難しそうです。 数学が不得手なことに加えて、 自分たちがパラドックスを解決したと思い込んでいるからですが、 彼らは例外なく 「単一金額ペアへの固執」 も起こしていそうなのでなおさらです。

しかし変数の誤用体験者は一人もいないかもしれません。

この項を 2015/05/10 に追加

もしそうなら、上記の考えは無駄でした。

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期待値の錯覚を起こす人の場合

二つの封筒問題の期待値錯覚現象

「期待値の錯覚」とは次のような錯覚を言います。

封筒を開ける前に二つの封筒が互角だったのだから、封筒を開けた後も、あるいは選んだ封筒の中の金額を特定した後も、二つの封筒の金額の期待値は等しい。

この錯覚に陥った人が完全に信じ切っているときには、数学的説明を理解してもらうことは非常に困難です。

期待値の錯覚現象と思われる事例

くどいようですが、これらの人たちの場合、 選んだ封筒の金額を特定して考えている点が 二封筒問題のおまじないの王様 と異なります。

期待値の錯覚に気づいてもらうことの難しさ

期待値を前提に確率を逆算するタイプの期待値実現説に囚われた人の場合、Bさんのように場合分けや確率分布という概念を理解できる人でも、期待値実現説から目覚めるのに時間を要しているので、Aさんのように信じ切っている人に目覚めてもらうことは難しそうです。
「都合のよい計算式を見つけ出して期待値が等しいことを証明したと主張するタイプ」 の期待値実現説に囚われた人たちについては、 よくわかりません。

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計算式と方程式を勘違いした人の場合

2015/01/11 にこの項を追加しました。
2015/04/12 に大きく手を入れました。

「y = 2x や y = x/2 を x と y の関係を表す方程式と解釈」 できるような人は数学がある程度できる人たちなので、 「y = 2x や y = x/2 を x から y を求める計算式と解釈」 する方法にも気づくこともできそうです。
しかし 「y = 2x や y = x/2 を方程式と解釈」 する方法から抜け出せない人がいたとしたら彼らはもともと自分に数学力があると自認しているでしょうから意識を切り替えてもらうことは不可能かも知れません。

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おまけ: 「封筒を開けてから交換型」特有の錯覚現象

「封筒を開けてから交換型」の二封筒問題には、二つの封筒を二人で分け合って、相手に見えないように中身の金額を見た場合、二人ともが封筒を交換した方が有利だということを不思議に感じてしまう錯覚現象が伴います。

これも次のような単純なケースを考えると二人とも交換した方が有利な状況が普通に起きることがわかるので、錯覚に気づいてもらえるでしょう。 このケースで 4 の方の人は交換すると 2 になってしまうので、交換しない方がよいなどと思うのは、無意識に「神の視点」に立って二つの封筒の金額を同時に限定してしまったために起きる錯覚現象です。

同じような錯覚現象がモンティ・ホール問題にもあります。 扉空間の魔力で紹介しています。ただしこちらは「神の視点」に立つべきときに立たずに二つの扉を中身を同時に限定しなかったために起きる錯覚現象です。

おまけ: 「封筒を開ける前に交換型」特有の錯覚現象

「封筒を開けてから交換型」の二封筒問題には、封筒を交換した方が有利だとすると、封筒を交換した後でもそうなのだから、永遠に封筒を交換しつづけることになる、という錯覚現象が伴います。
これは封筒を交換した後では封筒の交換という現象を加味した標本空間あるいは確率空間を考えなければならないという、確率論の基本を理解していないための錯覚です。
「封筒を交換する前に封筒を交換した方が有利だと言うことから封筒を交換した後でも交換した方が有利だということを自動的には導けない」 ということに気付けば迷いから覚めるでしょう。

参考文献

用語解説



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